「調査官ク・ギョンイ」脚本家ユニット のソンチョイ「チームの結束からおもしろい作品が生まれる」
加えて、韓国のコンテンツが世界に通用するという認識が広まる中で、以前は国内向けに書いていたストーリーも海外の視聴者を意識するようになりました。韓国だけで共感される物語よりも、もっと人間の普遍的な物語を書く必要性も感じています。
――海外向けと国内向けのもの作りで異なる点はどのようなことですか?
ソンチョイ:海外でもヒットしたドラマ「調査官ク・ギョンイ」は、韓国人向けの言葉遊びやネットミームを多用したため、韓国のネット文化を知っている人ほど楽しめる脚本でした。後にこの作品は世界へ発信されることが決まったのですが、言葉の意味だけでなく文脈や感情、ニュアンスなども含めて翻訳する難しさがありました。今後はそうしたドメスティックでニッチな部分はできるだけ少なくして、どの国の人が見ても同じように楽しめる、誠実さや素直な気持ちが込められた物語が書きたいですね。
――今後のキャリアをどう考えますか?
ソンチョイ:明日どう生きていくかもわからない状況です(笑)。先ほどお話した通り、業界は縮小傾向にあるので、市場がどのように変わっていくか正直わからないですね。でも、物語の力は必ずあると思うので、その核となる部分を作る必要性を感じています。 ですので、今年、今まで映画やドラマで一緒に仕事をしてきた友人たちと会社を立ち上げました。代表は、「調査官ク・ギョンイ」に出演していた俳優兼映画監督のチョ・ヒョンチョルさんで、他にも映画監督がいます。もっと精力的に映像作品を作っていく予定です。
――会社を立ち上げた理由を教えてください。
ソンチョイ:フリーランスは単発の仕事に追われがちなので長期的な目標に向けた活動がしづらく、キャリアの蓄積につながらない印象がありました。ですが、2人で活動することでお互いを支援したり、高め合えることができました。今後は会社としての機能を持ちながら、多くのスタッフとの結束を強めることでより良い仕事ができると考えています。