《葬儀・墓で揉めないためのポイント》葬儀は事前に「呼ぶ人リスト」を準備、極限まで簡素化するなら「直葬」も選択肢 流行の「樹木葬」にも注意点
人生最後の儀式である葬儀の準備を間違えないようにしたい。近年は家族葬を中心に葬儀の簡素化が進んでいるが、トラブルも頻発している。昨年、父の葬儀を家族葬で行なった埼玉県在住の60代男性が言う。
「こぢんまりとした家族葬をするはずだったのですが、どこからか葬儀を聞きつけたらしく、多数の弔問客が来てしまったんです。父の古くからの知り合いには『何で葬儀に呼んでくれなかったんだ』と文句を言われ、香典返しも用意できず反省しました」 ファイナンシャルプランナー(FP)の辻本由香氏が指摘する。 「葬儀は残された人のためにする儀式でもあるので、生前の意思確認も含めてどんな葬儀にするかを家族で話し合い、事前に『お葬式に来てほしい人リスト』を作成しておくといいでしょう」 案内状を送る人の年賀状を分けて保存しておくなど、残された家族が行動しやすくなる備えを心がけたい。 極限まで簡素化したいという人は、葬儀場自体を使わない選択肢もある。高齢者の見守り業務を行なう一般社団法人LMN代表理事の遠藤英樹氏が語る。 「通夜や告別式を行なわず、直接火葬場でお別れをする『直葬』という形式があります。近年、この直葬を選ぶ人が増えてきました」 値段の安さも直葬のポイントだという。 「直葬なら費用は全部で25万円程度。ただし『費用は全部で8万円』といったネット広告のなかには、都内なら7万5000円かかる火葬代や1万円ほどする骨壺代などを含んでおらず、料金支払いの際に『話が違う』とトラブルになるケースがある。業者選びは慎重に進めましょう」(遠藤氏)
樹木葬のトラブルに注意
昨今は墓も葬儀と同様に簡素化が進む。 「田舎の墓を墓じまいして、都市型の永代供養墓に移す人が増えています。最近の流行は樹木葬ですが、ここでもトラブルがないわけではない。霊園や寺によっては家族で契約した人が1柱納骨が増えるごとに50万円ほどを請求されて結局高くついたり、オプションで高い墓石を勧められたといった事例があります」(同前) これからの葬送の在り方について遠藤氏はこう話す。 「例えば直葬でも参列してはいけないわけではなく、弔問客が手を合わせに来ることは可能です。この先の葬儀や墓は場所を簡素化しつつ、ゆかりある人々の偲ぶ気持ちも大切にする心構えが必要だと思います」 ※週刊ポスト2025年1月3・10日号