尹錫悦大統領が3度目の出頭拒否 韓国捜査本部、逮捕状請求含め検討
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が出した「非常戒厳」をめぐり、警察などの合同捜査本部は29日午前10時に尹氏に出頭するよう要請していたが、尹氏は応じなかった。18日と25日にも合同捜査本部の出頭要請を拒んでおり、出頭拒否は3度目となる。 【写真】2024年12月14日、国民向けの談話を発表する韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領=韓国大統領府提供 正当な事由なしに出頭要請に3回程度応じなかった場合は逮捕状を請求するのが一般的とされており、合同捜査本部は逮捕状の請求も視野に入れて対応を検討するとみられる。ただ、現職大統領の逮捕は前例がないだけに慎重な声もあるといい、その判断が注目されている。 合同捜査本部は内乱や職権乱用の疑いで尹氏の捜査を進めており、政府高官らを捜査する「高位公職者犯罪捜査処」(公捜処)に出頭するよう求めていた。 これに対し、尹氏の弁護側は、捜査よりも憲法裁判所での弾劾(だんがい)審判の手続きが優先されるべきだとの尹氏の立場を明らかにしているほか、公捜処の捜査権限についても疑問を呈している。 聯合ニュースによると、尹氏側は29日までに弁護人の選任届を出しておらず、出頭要請に関して何の連絡もなかったという。 合同捜査本部が逮捕状を請求したとしても、裁判所が発付に踏み切るかどうかは不透明だ。発付されても、大統領の警護員が捜査当局を物理的に阻止する可能性もあり、実際に執行できるかどうか懸念する声もある。 聯合ニュースは、合同捜査本部が尹氏の身柄を確保するための逮捕状の請求を「有力に検討している」と報じ、早ければ30日にも今後の方針を決定するとみられると伝えた。関係者がその判断を注視している。(ソウル=貝瀬秋彦)
朝日新聞社