ソフトバンクグループ 3年連続赤字でも強気の理由【WBS】
ソフトバンクグループの今年3月までの1年間の決算が発表され、2276億円の最終赤字となりました。これで赤字は3年連続ですが、記者会見した経営陣が見せたのは、反転攻勢に打って出ようとする強気の姿勢です。一体、どんな構想があるのでしょうか? 多くの報道陣が注目したソフトバンクグループの決算。2000億円以上の最終赤字に終わり、3年連続の赤字となりました。ただ、13日に開いた記者会見で、ソフトバンクグループの後藤芳光CFOは「ちょっとだけ赤字ということでこれは残念だなと思うが、しっかりした大きな回復を遂げて、ここからさらに今度は黒字の世界に収れんしていける」と強気な姿勢を示しました。 2020年度に5兆円近い純利益を叩き出した後、大幅な最終赤字に転落し、ジェットコースターのような決算が続くソフトバンクグループ。世界的な株高などで投資の事業が改善し、今回は赤字幅を大幅に縮小させました。 そんな中、反転攻勢の柱にしようとしているのがAIです。 後藤CFOは「AGI・ASI(人間以上の知能を持つAI)が10~20年単位で進んでいくことを考えてAI時代の先頭を切って走っていきたい」と述べ、人間のような知能を持つAIとも言われるAGI(汎用人工知能)の実現を見据え、AI事業の拡大に乗り出す方針を打ち出しました。 3年連続の赤字が続く中での大勝負ですが、13日の会見にグループを率いる孫正義会長兼社長の姿はありません。 「孫会長が決算会見にいないのはなぜなのか? 今何をしているのか?」(豊島晋作キャスター) 「AIの大きな時代の流れの中でソフトバンクグループは何ができるか。それを一生懸命やりたいということで、それからずっと彼はそれまで以上に積極的に、精力的にさまざまな活動をしている」(後藤CFO) AIの事業拡大に向け活動しているという孫氏。去年7月にはChatGPTを開発したオープンAIの幹部などが集まったシンポジウムに出席しました。その際には「脇道にそれた研究開発や解決策は枝葉にすぎない。一番中央の幹のところ、ど真ん中の一番大切な光り輝く水晶玉(が大事だ)」と話しました。 グーグルやマイクロソフトなどアメリカの巨大企業が激しく競争するAI開発。その真ん中の事業とは何なのでしょうか? 孫氏は当時、テレビ東京の直撃に対し「あらゆることをやる。具体的にはまだ」と話しました。 去年10月には、自身の生成AI活用法についてこんな発言もしています。 「GPT4(チャットGPT)は僕も毎日のように使っている。議論が進んでいく。うちの役員とディベートするより」(孫氏) ソフトバンクグループはどのような形でAI事業を進めるのか。後藤CFOはソフトバンクグループは傘下に置くイギリスの半導体設計大手「アーム」を事業拡大の中核に据える方針を示しました。 「アームの製造能力、設計能力がなければ、AIの本格的な時代に、世の中の技術やサービスが追いつかない。アーム発で多くの世界をつくり上げていく部分もあるだろう」(後藤CFO)