井崎英典「バリスタ世界チャンピオンになってもバラ色の人生にはならなかった」
2014年、24歳にしてアジア人初のワールドバリスタチャンピオンに選ばれた井崎英典さん。バラ色の人生を想像した彼を待ち受けていたのは厳しい現実でした。前編では彼がいかにしてチャンピオンになったのかを聞きました。 大人の“カッコいい”を取り戻せ Vol.07
都内某所にある完全予約制のコーヒーバー「珈空暈」(こくうん)。茶室の思想を取り入れたわずか4席の独創的な空間では、コーヒー5杯とスウィーツで構成される日本ならではの「コーヒーのフルコース」が1万6500円~の価格で提供されています。 同店を立ち上げたのは、1990年生まれの井崎英典さん。2012年に史上最年少でジャパン・バリスタ・チャンピオンシップにて優勝し、2014年には、ワールド・バリスタ・チャンピオンシップで、アジア人初の世界チャンピオンに輝いています。 彼はいかにして、弱冠24歳で世界チャンピオンにまで上り詰めたのか、そしてほぼ9割が海外からのお客様という特別なコーヒーバー「珈空暈」をオープンさせた理由とは? お店を訪ねると、やんちゃで気の強そうな面影を残した井崎さんが格別の笑顔で迎えてくれました。
自分が納得できるカップを作りたいと有田焼窯元とコラボ
── 今日はどうぞよろしくお願い致します。(店内を見まわして)いやあ、すごい空間ですね。宇宙船が地球に戻って来る時の帰還カプセルのような……。 井崎英典さん(以下、井崎) クセが強いですよね。クセしかないとも言いますが(笑)。まずはせっかくなので、コーヒーをお召し上がりください(と出されたカップがまた変わっています) ── ありがとうございます。これは特注品ですか。 井崎 はい、自分が納得できるカップを作りたいと僕がデッサンして、有田焼窯元・アリタポーセリンラボの七代目・弥左エ門(松本 哲)さんに作ってもらったものです。ウイスキーのテイスティンググラスから着想を得てデザインしました。コーヒーの香りがぐっと凝縮するように、ふっくらとした胴にしています。
井崎さんが有田焼窯元アリタポーセリンラボとコラボして作ったコーヒーカップ「The M Gold」2万3000円(税抜)。他に銀色の「The M Platinum」2万1000円(税抜)もある。取り扱い店舗は「珈空暈」およびアリタポーセリンラボ旗艦店。オンラインの扱いはなし