入社2年でリーダー、先輩の提案却下も。“ニッチ”で勝負する宮崎のエア遊具レンタル会社の、新商品生み続ける社風
山元さんは2022年11月、エア遊具の新企画を決める「新商品アイデア検討会議」のリーダーに、当時入社2年目だった八鍬雄斗さんを指名しました。 毎月1度、全社員がそれぞれ新商品の企画を提案し、30~40の企画が集まります。検討会議はそれらの採否を決める重要な役割を担います。八鍬さんが言います。 八鍬 「荷は重いです。でも、任せてもらえてうれしかった。入社前から遊具の開発にあこがれ、ふだんから誰よりも多くの提案をしてきたつもりです」 先輩社員の提案であっても、市場で勝てないと判断すれば「心を鬼にして」却下するそうです。迷ったとき、会議の一員でもある山元さんが判断の材料を示す場合はありますが、山元さんは「私と八鍬の意見が合わなかった場合、なるべく八鍬の意見を通すようにしています」と話しています。
売り上げの1%を社員教育に
創業者の山元さんには上司がいません。教えてくれる存在が社内にはおらず、経営のありとあらゆることを手探りで学んできました。学生時代に読書の習慣はなかったそうですが、今ではビジネス書を年50~100冊ほど熟読しているそうです。外部の研修にも参加し、会計、マーケティング、人事評価など、実践的な講座を受講してきました。
山元 「自分の能力ですごいことができるなんてまったく思っていません。書物で理論を学び、研修で先達の経験に耳を傾ける。そうして得た知識を自社に合うようにアレンジするのが大事だと思っています」 そうした自身の体験に基づき、社員にも読書や研修を推奨するようになりました。同社は毎年、売り上げの約1%を人材育成に充てているそうです。一つは、社外研修。社員には毎年必ず、中小企業大学校など外部の人材育成研修に参加してもらいます。2022年度に計5回のプログラムを受講した八鍬さんは手ごたえを感じたようです。 八鍬 「新規事業を含め、走りながら業務を覚える日々です。いったん現場を離れて受講してみると、自己流ではできていなかったノウハウを知ることができました。例えば、期初に立てた年間目標を月に割り振り、さらに週に落とし込む。逆算して数値化する方法を身に付けました」 山元さんが研修と両輪で重視しているのが読書です。月に1回、社員を3~5人ずつのグループに分けて、読書会を開いています。それぞれが読んだビジネス書の内容や感想を発表し、みんなで意見を交わします。柳田さんはこう話しています。