「肝臓がん」は飲酒・喫煙しなくても発症するリスクが!? 予防するための生活習慣を医師が解説!
「肝臓がん」と聞くと、アルコールの過剰摂取や喫煙が主な原因として思い浮かぶでしょう。しかし、じつはこれらの習慣がなくても肝臓がんになるリスクはあるのだそうです。今回は、アルコールや喫煙以外の肝臓がんのリスク要因、肝臓がんを予防するための生活習慣について「さがみ野やまなクリニック」の山名先生に解説していただきました。 【イラスト解説】「肝臓がん」の前兆となる“4つの初期症状”
肝臓がんとは?
編集部: まず、肝臓がんについて教えてください。 山名先生: 肝臓がんは、肝臓の細胞ががん化することによって発生する悪性腫瘍です。ほとんどのがんと同様に、中高年層での発症が増えます。男女問わず一定の割合で発生しています。 編集部: 肝臓がんの原因はなんですか? 山名先生: 肝臓がんの主な原因としては、慢性的な肝炎ウイルス(B型肝炎・C型肝炎)の感染、アルコールの過剰摂取、脂肪肝、肝硬変などが挙げられます。これらの要因が肝臓の細胞にダメージを与え続けることで、がんが発生するリスクが高まります。 編集部: 肝臓がんの初期症状はどのようなものがありますか? 山名先生: 肝臓がんの初期では、自覚症状がほとんどありません。多くの人はがん検診や、会社の健康診断で何らかの異常が指摘され、その後の精密検査などで診断されます。また、ほかの病気の検査で偶然発見されることもあります。人によっては、疲れやすさや体重減少、食欲不振などの一般的な症状が出ることもあります。 編集部: 症状が進行すると、どのような変化がみられますか? 山名先生: 肝臓がんが進行すると、「上腹部の痛みや違和感」「腹部の腫れ」「皮膚や目の白い部分が黄色くなる黄疸(おうだん)」「足のむくみ」「腹水」などの症状が表れます。これらの症状が出た時点で、既にかなり進行していることが予想されます。肝臓がんの症状が疑われる場合は、早急に医療機関を受診しましょう。
「肝臓=アルコール」とは限らない
編集部: 肝臓がんの原因は、アルコールだけではないのですね。 山名先生: そうですね。「肝臓=アルコール」というイメージを持つ人は多いですが、肝臓がんの原因やリスク要因は多岐にわたります。特に、お酒を飲まない人でも、肝臓に脂肪が蓄積する「NAFLD(非アルコール性脂肪性肝疾患)」は、最近非常に増えています。 編集部: NAFLDについて、もう少し詳しく教えてください。 山名先生: 肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態を指す「脂肪肝」という言葉は、テレビのCMなどで耳にしたことがあると思います。脂肪肝には、アルコールの摂取が原因となるものと、アルコールとは無関係に発生するNAFLDがあります。NAFLDは単なる脂肪肝にとどまらず、進行すると肝不全や肝臓がんのリスクを高めるだけでなく、大腸がんや乳がん、動脈硬化性心疾患などの重篤な病気の発症率も高めることが知られています。 編集部: お酒を飲まない人でも、肝臓が悪くなることがあるということですね。 山名先生: そのとおりです。肝臓がんのリスクを高める要因には、NAFLD以外に肝炎ウイルス感染、糖尿病、遺伝的要因なども関係しています。また、日々の生活習慣や食習慣も、肝臓の状態に大きな影響を与えることが分かっています。これらの要因が複合的に作用し、肝臓がんの発症リスクを高めてしまうのです。