慶事欄なくなる?YouTube活用も◆変わる「社内報」企業の狙いは… #令和に働く
◇結婚や出産、慶事欄も廃止
社内報の中身も変化してきた。その一つが「慶事欄」の廃止だ。社内報総合研究所の橋詰知明所長によると、「個人情報の問題や多様性に配慮して、慶事欄を廃止する会社が増えている。載せているところでも、掲載可能かを社員に尋ねた時に断られるケースが多いようだ」と話す。 リクルートホールディングスでは、グループ報「かもめ」で1992年に慶事欄を廃止した。当時は社員数増加の影響で、全てを追い切れなくなったことが背景にあったというが、グループ各社における慶事欄の扱いは、それぞれに任せていたという。 その内の一つ、事業会社の「リクルート」(東京)では、2021年4月に国内の複数のグループ会社を統合し、新たな社内報「毎朝★リクルート通信」を発行する際に、改めて話し合って、慶事欄を設けないこととした。 コーポレートコミュニケーション室の合山瑞枝さんは、「結婚する・しない、子どもを産む・産まないといった選択が、どちらも幸せなプライベートのあり方として尊重される時流の中で、出産や結婚だけを会社として祝うことに違和感があった」と説明。一方で、社員同士のコミュニケーションで慶事をお祝いすることについては、「特に推奨も禁止も呼び掛けてはいない」という。 「限られた情報量しか載せられない中で、慶事欄の優先順位が下がっている」「お祝いする場合も身近な人たちで」というケースも、取材の中では聞いた。今ではSNSが発達し、個別に連絡が取れる環境にあることから、慶事欄の必要性に変化が生じた可能性もありそうだ。 ◇「若手の帰属意識向上を」―社内報総合研究所・橋詰知明所長の話 社内報は、景気や時代に合わせて常に変化を遂げてきた。時には不景気のあおりを受け、経費削減の対象になる場合もあったが、直近の新型コロナウイルス禍で「なぜ社内報を出すのか」「今できることは何なのか」を各企業が考え直すきっかけになった。その中で、これまで当たり前にあった社内報の価値が再評価されてきたと感じている。 企業側にとっては、社内報によって「横の繋がり」を作り、会社への帰属意識を強めたい狙いもある。若手の早期離職対策としての役割が大きくなり、社内報のターゲットを若い世代に設定している企業も増えた。従業員のやりがいを高め、長く安心して働いてもらうためにも、キャリアのロールモデルを含め、「社員にいかに活躍の場を与えられるのか」を社内報で提示することが重要になるだろう。 この記事は、時事通信社とYahoo!ニュースの共同連携企画です。