「異次元円安」で輸出急増の中古車市場で引っ張りだこの意外なクルマとは?
だが、そんなピックアップトラックにも弱点が! 豊満デカボディのため、荷物はたくさん積めるが、取り回しや燃費、乗降性に難があるのだ。 「一方、軽トラは小回りが利き、燃費も良く、四駆モデルは悪路も軽くこなす。小さくキュートな形の軽トラは、まさに"東洋の神秘"。それがアメリカでバズった理由ではないでしょうか」 そんな大人気の軽トラの新車価格は100万円前後だが、中古車市場は鬼の高騰! 年式の新しい軽トラは200万円を突破し、30年落ちでも50万円の値札がついている! 「『程度や装備のいい軽トラは、200万円出しても買いたい』と話す海外のバイヤーも」(バクヤスオートの遠藤氏) 強気の値札の店が多いのは、こうした海外需要を見越しているからだ。しかも、軽トラは近年中古車輸入の規制などが緩和された右ハンドルのオーストラリア、さらには人を荷台に乗せて運ぶ文化のある途上国でも需要があり、ぬかるみや悪路をこなす四駆の軽トラは超お宝カーなのだという。 ■日本の中古車市場は"宝の山" 円安以外にも、世界が日本の中古車を好む理由がある。 「商談時、日本のお客さまはとにかく走行距離の少ないクルマを希望されます。逆に言うと、日本市場では走行距離の多いクルマは人気がなく、価格も安くなる。ところが、海外では10万㎞という数字は序の口なのです(笑)」(バクヤスオートの遠藤氏) 日本の中古車は車検制度の関係で整備がシッカリされている。そんな安心の日本車が円安もあり手頃な価格で仕入れられる。海外のバイヤーからすれば、「日本の中古車市場はお宝だらけ」となる。 事実、今回の取材で何度も耳にしたのが、日本車の価値の高さ。丈夫で長持ち、しかも燃費がいいと評判で、国によっては10年落ちの日本のセダンやコンパクトカーのハイブリッド車が200万~300万円で販売されているという。 高値の理由はシンプルで、人気車なので即現金化が可能。つまり、資産価値が高いのだ。 「今、日本の中古車市場は国内外がぶつかる大争奪戦となっています。このまま円安が続くと、相場より高く買い取りができる海外勢に根こそぎクルマを持っていかれる恐れも。 それが証拠に今、日本の中古車市場に流通する整備の行き届いたドイツ車も買いあさられています」 ニッポンの中古車市場の未来はペンペン草すら生えないかも!? ■取材協力店・バクヤスオート〒262-0011 千葉県千葉市花見川区三角町782-15電話043-307-7433 営業時間10~18時(毎週月曜日休み*祝日を除く)総在庫500台以上を誇るバクヤスオート。希少車・絶版車も用意し、2級整備士も常駐。 取材・文・撮影/週プレ自動車班 写真/アフロ 写真提供/スズキ ダイハツ工業