絶対クレームに…激辛ふりかけ「しげき」、なぜ商品化できた? 広報に聞いてみた
スーパーで買い出しをしていると、「しげき」という名のふりかけが目に留まった。手に取ってみると、ふりかけの「ゆかり」でお馴染みの、広島の食品メーカー「三島食品」が発売元。ネーミングに惹かれ、興味本位で購入してみることにしたのだが・・・さっそく食べてみると、これが猛烈に辛い!! 【写真】もはや調味料?「しげき」はこんな使い方もできる いわゆる辛い系ふりかけは、これまでにも食したことはあるが、これは特段、辛いのだ。並々ならぬわさびのツーンと感が押し寄せ、涙が止まらない。この辛さは、子どもには無理・・・ふりかけを食べてそう思ったのは、初めてだった。 気になって、SNSで調べてみると「美味しいけどガチで辛い」「とっても刺激的!」「かなり凶暴だ」などといったコメントが散見。こんなに攻撃的でアグレッシブな商品が、なぜ発売に至ったのか? 気になったので、広報担当の新宅智彦さんに話を聞いてみた。 ■ 社内調査では「絶対にクレームになる」と言われたが・・・ ──ずばり、わさびが主役の「しげき」が誕生した経緯をお伺いしたいです。 わさびという素材は、業務用商品としては長く支持されていたこともあり、市販商品として発売すべく開発をおこないました。また、担当者の熱意もあり、全国の社員を対象にモニター調査を実施して、発売に行きつくことができました。 ──御社のなかで「辛すぎるのでは?」など、反対の声はなかったのでしょうか? 社員のモニター調査にて、何度も試作品のテストをおこないましたが、「絶対にクレームになる!」などの意見もあり、納得の味になるまで数年、試行錯誤を繰り返しました。 ──数年とは驚きです。そんな「しげき」のこだわりを教えてください。 人の名前のような商品名がSNSを中心に話題になりましたが、弊社としては「製品内容が納得できなければ発売はしない!」というトップの判断のもと、素材へのこだわりは強く持っています。今回は、単に辛いだけではなく、コクのある辛さにするため、隠し味に唐辛子を使用しました。 また、辛いもの好きなお客さまの期待を裏切らないような辛さに調整した分、一般の方への説明が必須と考え、弊社として初めて、注意喚起の文章をパッケージに記載しました。 ■ もはや調味料? おすすめアレンジレシピ ──確かにあの辛さは、注意喚起に相当するように思います。最後に、社員さんだけがこっそりと楽しんでいるアレンジレシピがあれば、教えていただけますか? 調味料のような感覚でご利用いただければ、可能性は広がるかと思います。例えば、シンプルに納豆や冷奴に使ったり、キャベツの浅漬けに和えたりすれば、手軽に辛さが楽しめて良いと思います。総菜のポテトサラダの半分だけに「しげき」を混ぜて、交互に味わうのも好きですね。 ■ 「人の名前」のようなネーミングも気になる・・・理由は? 最後に、「三島食品」を代表する「ゆかり」をはじめ、「ひろし」「うめこ」といった人名を連想させるユニークな商品名についても伺ってみると、それぞれ由来があるとのこと。例えば「ゆかり」は、商品が紫色なこと・古今和歌集で「縁(ゆかり)」のあるものとして「むらさき草」が詠われていること・お客さまとのご縁を大切にしたいという思いもこめて、名付けられた。 また、「ひろし」は、「広島菜(ひろしまな)」が使用されており、その最初の三文字をとって命名。広島菜の認知度を全国レベルに上げるという裏ミッションも抱えているのだとか。 そのほか、「うめこ」は、ふりかけ「ゆかり」「かおり」「あかり」が、ネット上で三姉妹と言われるようになって以後、初めて人の名前を意識した商品だそうで、社長の末貞操氏が「昭和の演歌歌手」のイメージから連想して、その名が決まったとのこと。 そして「しげき」については、これらに次ぐ商品であり、辛みが強いことから「注意喚起」の意味も込めて名付けたそうだ(「ゆかり」「かおり」「あかり」「うめこ」「ひろし」「しげき」は三島食品株式会社の登録商標)。 取材・文・写真/緑川翠