「なぜか字が大きい日や、乱暴に書く日」 留学手帳を大学生が商品化 アナログな紙の良さを再発見
デジタルネイティブのZ世代では、スケジュール管理などはすべてスマホで済ませる人がほとんどかもしれません。そんななか、「紙の手帳の良さ」を見直し、コンテストで最優秀賞に選ばれて、商品化にこぎつけた学生グループがいます。その手帳とは、留学をめぐるさまざまな思いやできごとを記すための「留学DIARY」。紙の手帳に託した思いを聞きました。 【写真】完成した「留学DIARY」
全国の大学のゼミ生たちが、企業から出されたテーマをもとに企画を競い合い、実際に商品化をする「Sカレ(Student Innovation College)」というコンテストがあります。「Sカレ2023」では、32大学の38ゼミ、552人の3年生によって構成する169チームが、9テーマの商品企画を競いました。 「デジタル化時代に必要な手帳」の部門で見事、最優秀賞に選ばれたのは、和歌山大学経済学部の柳到亨ゼミのチーム「ハイファイブ」の3人の学生(木村満厘さん、池中唯人さん、天野優音さん)です。デジタル化が進むなかでも、どんな手帳なら使いたくなるか――。3人が提案したのは、「留学DIARY」でした。 「留学DIARY」は、留学前の夢や不安から始まり、留学中、そして留学後の成長記録を残せる構成になっています。留学に必要な持ち物リスト、日々の出来事を記録する日記スペース、現地で作りたい料理のレシピなど、まさに「かゆいところに手が届く」項目が並びます。入賞後、手帳メーカーと共同で完成させ、2024年3月から全国で販売を開始しました。 この手帳のアイデアの元になったのは、木村さんが高校生のときに経験した短期留学でした。 「せっかく行った留学なのに、どこに行ったのか、どんな友達に出会ったのかなど、後で忘れてしまったことが多かったのです。今はコロナ禍も終わり、世界に飛び出す学生が増えています。留学後に宝物として形に残るツールがあったらいいな、というのがこのダイアリーの始まりでした」(木村さん)