「日本は次世代自動車SDV競争に出遅れている」そんな"日本車ダメ"論調が常に間違えてしまう根本原因
■車のソフトウエアの進化は今に始まったものではない 1990年代から普及し始めたCAN-BUSシステムや、それを発展させたCAN FDやFlexRayといったシステムは、現在ほぼすべての車に使用されている、車全体を制御するネットワークシステムである。 最近は様々なセンサーを多数駆使するようになったため、より高速な車載用イーサネットを導入している車種も多い。 ここ20年くらいの進化はすさまじいもので、車のソフトウエアの進化は今に始まったものではないのだ。 ソフトウエア更新で新機能を追加する、ということでテスラが進んでいるという話もよく耳にするが、これも技術的に際立った話ではない。 ■現在の車は十分に「ソフトウエア主体に作られた車」だ たとえば私が愛用するマツダ・ロードスターであるが、2021年の改良でKPC(キネマティック・ポスチャー・コントロール)という機能が追加された。 これはコーナリング中にごく僅かに内側後輪のブレーキを作動させることでコーナリングの安定感を高める機能だが、それ以前のモデルにも技術的にはソフトウエアのアップデートで機能追加が可能だという。ただし、ブレーキが絡むことなので認証の問題があり実際には追加できないのだが。 以前所有していたポルシェでは、オプションでパワーステアリング・プラスという設定があり、低速域でのステアリングの重さを軽くするものだが、これは何か物理的にパーツを変えるものではなく、ソフトウエアの設定を変えるだけのものだ。したがって購入後でも料金を払えばその機能を追加することができる。 私が愛用するもう1台、BMW 118d(旧型のF20型)でも、車にあるOBDコネクタに接続する機器さえあれば、パソコンやスマートフォンのアプリで様々な設定を変更することが可能だ。 その車のハードウエアが対応できる限り、ソフトウエアのアップデートや設定変更は今の車でも十分可能なのである。