「国民に対する戦闘宣言だ」石破首相はなぜ権力にここまで執着するのか…世襲政治家としてのミッション
自分が最高権力になると、手放したくなくなる
そうとでも考えないと、特に経済に明るいわけでもなく、実績を残したわけでもない政治家が、自分が首相になるべきだという強い自信はどこから生まれてくるものなのだろうか。 最高権力の座につくまでは、権力にしがみつくことや、権力によって生まれる腐敗について強い批判をしていたのに、自分が最高権力になると、手放したくなくなると言うのは、調べてみると、誰しもが陥る感情のようだ。 例えば、中国の毛沢東などが良い例だろう。毛沢東は「中国のすべての権力は人民に属する」として、共産主義の平等思想を掲げ、権力の独占を批判していた。しかし、その後に行った文化大革命では、毛沢東は自己の権威を確立するための「個人崇拝」を容認し、敵対者を徹底的に排除したため、当初の言葉とは真逆の行動を取ることになった。 このことは中国共産党も指摘するとことである。 <社会主義社会の階級闘争に関する理論と実践の面で、毛沢東同志の誤りがますますひどくなっているにもかかわらず、党中央はこれらの誤りをすぐに是正することができなかった。毛沢東同志は当時のわが国の階級的情勢および党と国家の政治状況について、まったく誤った判断を下したことで、「文化大革命」を引き起こし、これを指導した。一方で、林彪反革命集団と江青反革命集団は毛沢東同志の誤りにつけこみ、国と人民に災いをもたらす大量の犯罪行為を働き、十年に及ぶ内乱を招いて、党と国家と人民に新中国成立以来の最も大きな挫折と損失を来し、その教訓は非常に痛ましいものであった>(中華人民共和国駐日本国大使館HP「党の百年奮闘の重要な成果と歴史的経験に関する中共中央の決議」2021-11-16 20:18より)
首相の座に執着を見せ、居直りを続けた
中国の大政治家・革命家の例以外にも、日本の民主党政権時代に首相になった菅直人氏などはその典型であろう。市民運動家として、政治的キャリアをスタートして、権力の腐敗を追及し続けたのだが、首相に就任後、震災での不始末が大きく批判され、国民からの辞任要求が高まった。 市民運動家なら民意に従うものなのかと思いきや、首相の座に執着を見せ、居直りを続けた。いよいよ退陣が迫る段になって、<(私の)顔見たくないなら(再生エネルギーへの莫大な補助金についての)法案を通した方がいい>と発言。当時の国会議員は、首相の座にしがみつく菅氏を引き摺り下ろすことを優先し、この法案を通した。そしてこの法案こそが、今日の電気代を高くしている原因となっているわけだ。