タデイ・ポガチャルがラスト100kmでプロトンから飛び出しトリプルクラウン達成【Cycle*2024 UCI世界選手権大会 男子エリートロードレース:レビュー】
3周回目で攻撃の波が起こった時も、スロベニアとベルギーは揃って上手く対処した。1週間前の個人タイムトライアルで好走を見せたジェイ・ヴァイン(オーストラリア)が前へと走り出た。やはり世界選2冠ジュリアン・アラフィリップが落車リタイアし、作戦変更を余儀なくされたフランスからは、パヴェル・シヴァコフが動いた。イタリア、ドイツ、アメリカ、デンマーク、英国、ノルウェーからも次々と飛び出していく。もちろんスロベニアはヤン・トラトニクを、ベルギーはローレンス・デプルスを、きっちり前へ送り出した。同時にメイン集団の主導権も一時的に放棄した。 出来上がった10人の第2集団に、つまり強豪と呼ばれる国で逃げに乗り遅れたのは、実は攻撃のきっかけを作った張本人のスペインと、ディフェンディングチャンピオンのマチュー・ファンデルプール擁するオランダだけ。ところがオランダは頑なに追走作業を引き受けなかった。そもそも今レースここまでも、オレンジ軍団は極めて控え目に立ち回っていた。オランダメディアの報道によると、どうやらファンデルプールは「ポーカーゲーム」を決め込んでいたらしい。必ずしも脚質向きではないコースだからこそ、自分では動かず、心理戦を繰り広げるつもりだった。
それでも4周回目の最初の上り、ベルフシュトラーセ坂でカスパー・アスグリーン(デンマーク)が攻撃に転じると、ようやくオランダのウィルコ・ケルデルマンが張り付いたが……むしろスロベニアが突如として主導権をむしり取る。この春のジロではUAEの一員としてポガチャル総合制覇に尽くしたドメン・ノヴァクが、恐ろしい勢いで坂を駆け上がった。続くウィトコンの坂道では、先のブエルタで史上最多総合4勝目を祝ったプリモシュ・ログリッチが高速牽引。小さな謀反を封じ込めつつ、スロベニア代表の唯一絶対のエースを前方へと解き放った。フィニッシュまで、いまだ100kmも残っていた!
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