<The追跡>“通信”の経済安保 日米タッグで狙うフィリピン市場【WBS】
日米比3カ国首脳会談で議論された新たな通信網「オープンRAN」。異なるメーカーの機器を組み合わせて携帯などのモバイル通信網を構築するというものです。高速通信規格5Gの広がりなどを背景に、今、世界的に関心が寄せられています。首脳会談では、フィリピンで「オープンRAN」による通信網の整備を協力して進めることで一致しました。 【動画】日米比首脳会談 中国に「深刻な懸念」表明 神奈川・横須賀市にあるNTTドコモの研究開発拠点「NTTドコモR&Dセンタ」。日米とフィリピンの首脳会談で話し合われた最新技術の開発が行われています。 「この部屋の中にオープンRANの装置が入っていて、検証をしている」(「NTTドコモ」ネットワーク部の森晴基課長) オープンRANは、モバイル通信の仕組みの一つ。これまで携帯電話向けのアンテナやサーバーは1社の機器で揃えるのが一般的でした。一方、異なる複数のメーカーの機器を接続できるようにするのが、オープンRANです。メーカー間の価格競争を促すことなどでコストを最大3割削減できるといいます。 NTTドコモはエヌビディアや富士通など国内外の27社と連携。現在は日本国内の一部地域での展開にとどまりますが、2025年度に100億円の売上高を目指しています。 「開発ノウハウをパッケージ化して世界に販売していく。NTTドコモの一つのビジネスの柱にしたい」(森課長) 「世界の市場で日本は存在感を示していけそうか」(大江麻理子キャスター) 「オープンRANはいろいろな企業が参加しやすくなる技術。日本企業がグローバルに出ていくこともできる。NTTドコモも日本企業として存在感を示していきたいし、示さないといけない」(森課長) この取り組みを後押しするのが政府です。日本時間の12日早朝に開かれた日米とフィリピンの首脳会談では、フィリピンでのオープンRANによる通信網の整備を協力して進めることで一致。なぜ日米はフィリピンとの連携を強めようとしているのでしょうか? 通信業界に詳しい三菱UFJリサーチ&コンサルティング・グローバルコンサルティング部の大原潤シニアマネージャーは「新興国はなるべくコストを抑えてネットワークを作りたい。価格競争力を備えるという意味でもオープンRANというテクノロジーを輸出することは互いの経済合理性にかなう」と話します。