<The追跡>“通信”の経済安保 日米タッグで狙うフィリピン市場【WBS】
ただ、そのフィリピンで存在感を示すのは中国の通信機器メーカー「ファーウェイ」です。2019年、中国のテレビ局が伝えていたのは、フィリピンが5Gを導入したニュース。ファーウェイは基地局の世界シェアでおよそ30%を占め、トップを走っているのです。 これに危機感を強めてきたのがアメリカです。トランプ政権以降、情報が中国に流出する恐れがあるとして、ファーウェイへの規制を強化してきました。 日米両政府が目論む打倒中国ファーウェイ。ただ、どうシェアを奪っていくのでしょうか? 首脳会談に合わせ訪米していたNTTドコモのオープンRAN事業の責任者である安部田貞行さんは「オープンRANをゲームチェンジの商機だと思っている。『リプレイス(置き換え)してでも入れたい』という人もいる。まだ5Gが入っていないところも結構あるので、一つの機会」と話します。
通信分野で進む中国包囲網
日本とアメリカがフィリピンでオープンRANの普及を目指す背景には、中国のファーウェイに対抗するという思惑があります。 アメリカの規制に続く形で、イギリスでは2024年1月、大手の通信会社などの基幹通信網からファーウェイの製品を全面排除するとしました。その他、EU(ヨーロッパ連合)もファーウェイを名指しで5Gの通信網から締め出すようにと、各国に要請をしている状況です。 ファーウェイは行き場を失いつつある中、東南アジアに活路を見出しているという状況ですが、今回、東南アジアのフィリピンに日本とアメリカがオープンRANでくさびを打ち込むことになるため、通信分野でのファーウェイや中国の包囲網ができつつあると言えます。 ※ワールドビジネスサテライト