「ネット選挙」に夢はない? 投票環境をどう改善するべきか
高解像度のコミュニケーション
国民が政策を考えるためにニュースの本質を捉える解像度は、ネットや新聞、テレビ、雑誌などのメディアにどのくらいあるのでしょうか? ネット選挙という言葉は一種のパワーワードですが、言葉が先行しすぎると問題を低い解像度で捉えてしまい、かえって解決が遠ざかる事態を招きます。いまの私たちに必要なのは、高い解像度でニュースを捉え、課題解決に繋がる新しいコミュニケーションであると私は考えています。 最高裁の判決主文で憲法違反の疑義が示されながらも、7年間も在外審査制度の問題点がそのままになっているのが、現在の私たちの社会の有様です。ここにこそ、イノベーションが必要です。総務省の研究会は現在第3回まで開かれていますが、その研究会での知見を私たちの大半が共有して考えるのは現実的ではありません。ネット投票を導入すれば、より民意が正確に反映されたり、政治が活性化したりするといった幻想パターンは捨て、高解像度のコミュニケーションを実現する解決策を開発することが今日を未来に繋げる唯一の方法であると思うのです。
---------------------------- ■岩田崇(いわた・たかし) 1973年1月生まれ。「オープンな合意形成によってこれらの社会に求められるイノベーションが実現する」との考えのもとに特許、メディア開発などを行う研究者、起業家。栃木県塩谷町では『塩谷町民全員会議』を開発、運営し、2016年マニフェスト大賞コミュニケーション最優秀賞を受賞。サイト