【今さら聞けない時事問題が100%わかる!】ホンダが苦境の日産を救う「真の狙い」とは?
● えっ、日産を丸ごと買おうとするなんて、どんな大富豪ですか 吉田:そんなに! なんとなく、日産はトヨタの次に大きい会社だというイメージだったので、けっこう意外です。でも先輩、株価なんて別に気にしなけりゃいいじゃないですか。 アカツキ:とんでもない。株価が下がるというのは恐ろしいことだぞ。ある会社の株式の50%超を買い占めれば、その会社を子会社にすることができる。株価が下がると、他の会社から買収されてしまう危険性が高まるんだ。 吉田:えっ、日産を丸ごと買おうとするなんて、どんな大富豪ですか。 アカツキ:業界では、EV事業を強化したい台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業が日産の買収に動いているといううわさが流れていた。鴻海は同じく経営不振に陥ったシャープを買収した会社だし、2023年にはEV事業を担う最高責任者として日産の副COO(最高執行責任者)だった関潤氏を招いている。買収の真偽はもちろん不明だがな。 吉田:日産の人たち、外国の企業に買われるぐらいなら日本の会社と一緒になったほうがいいって思ったわけですね。 吉田:でも先輩、日産は今経営不振なんですよね。ホンダはなんでそんな状態の日産と経営統合しようとするんですか。もうからなくて、損しちゃうかもしれないですよ。 アカツキ:なかなか鋭いな。確かに、統合協議入りが明らかになった2024年12月18日の東京株式市場では、日産の株が急上昇し、ホンダの株は値を下げた。投資家のみなさんは、統合は日産に取ってメリットがある一方、ホンダにとっては重荷になると判断したわけだ。 ● ホンダはなぜ日産と経営統合の話し合いをするんですか? 吉田:ほらやっぱり。じゃあホンダはなぜ日産と経営統合の話し合いをするんですか。 アカツキ:ホンダ側にとって最大の理由は、EV時代への備えだろう。足元でEVの販売が落ち込みハイブリッド車が売れていても、それは一時的な状況だとみられている。EVが売れていない最大の理由は、価格の高さと電池の性能だ。地球温暖化への危機感が高まる中、今後電池の開発がさらに進み、安く、軽く、高性能になっていけば、自動車の主流がエンジン車からEVに移っていくのは避けられない。 吉田:日産は今はハイブリッド車がないから不振だけど、将来的には本領発揮するってことですね。 アカツキ:その通り。電池の開発は自動車メーカーにとって死活問題なので、技術力に加えて莫大な投資が必要になる。さらに自動運転などの技術開発にもお金がかかるので、両社が経営統合して規模を大きくしなければ、世界のライバルたちとの技術競争、投資競争に負けてしまうという危機感が強いんだ。実際に自動車業界では経営統合の動きが進んでいて、フォルクスワーゲン、アウディ、ポルシェなどが一つのグループに、フィアット、プジョー、クライスラー、ジープ、アルファロメオなども一つのグループに統合している。 吉田:えーっ! 僕の知らない間にとんでもないことになってるんですね。 アカツキ:トヨタも、子会社のダイハツと日野自動車に加え、マツダ、SUBARU、スズキの株も保有してゆるやかな「トヨタ陣営」を作っている。ホンダと日産が経営統合すれば、生産台数で世界3位になり、これらのグループにも規模で対抗できると考えられているんだ。 吉田:なるほど……。いよいよ僕たち鷹の爪団も、ショッカーさんだけじゃなくフリーメイソンさんにも経営統合を持ちかけなくちゃいけないかもしれませんねぇ。 アカツキ:いやいや、実在の団体を巻き込むのはやめてくれ。 ※吉田くんとアカツキ先輩が活躍中のアニメ連載「そもそも?知りたい吉田くん」は朝日新聞デジタルで読むことができます。
「鷹の爪」吉田くん