キャリア各社の設備投資、明暗分かれる2024年度上期の進捗率
主要キャリア各社の2024年度上期決算が出揃い、各社における上期の設備投資実績値も発表された。そこで、各社の通期計画値と比較しながら、設備投資の進捗状況を整理してみたい。 ■ NTTドコモグループの投資進捗の鈍さが目立つ2024年度上期 2024年度上期における通期計画への設備投資進捗率はNTT東日本が前年同期8.1ポイント増となる43.7%、NTT西日本は同3.6ポイント増の41.5%、ソフトバンクグループが同2.7ポイント増となる44.3%となった。一方、NTTドコモグループは同2.5ポイント減の34.4%、KDDIグループは同9.7ポイント減となる45.2%、楽天モバイルが同4.8ポイント減の55.4%にとどまっている。 固定キャリアの進捗率が高まっているのに対し、移動キャリアの進捗率の鈍さが目立つ。特にNTTドコモグループの進捗率は近年で最も低く、投資計画が円滑に進んでいない印象を受ける。なお、楽天モバイルは他キャリアに比べ、進捗率が高くなっている。その背景には、楽天モバイルの決算が通年換算であるため、投資の集中する1~3月期が上期に含まれ、進捗率が高いものとみられる。 ■ 下期での盛り返しで通期計画を達成 2024年度通期計画をみると、NTTドコモグループが約400億円の拡大、楽天モバイルは約800億円の大幅縮小、NTT東日本やNTT西日本、ソフトバンクグループが横ばいの投資額を計画している。KDDIグループは6,500億円と大幅な縮小になっているが、2023年度は海外データセンタ会社買収のために7,493億円へ拡大しており、2022年度からは微増となる。 通信業界における投資進捗は上期に低く、下期で盛り返すという傾向があり、第3四半期(10~12月期)、特に第4四半期(1~3月期)に投資が集中する。そのため、特に進捗率の低かったNTTドコモの2024年度下期の動きに期待がかかる。 なお、最近、キャリア各社による投資抑制という表現が頻繁に用いられているが、ソフトバンクと楽天モバイルが投資を抑制しているだけで、NTTやKDDIグループによる投資抑制は行われていないのが現状といえる。ソフトバンクと楽天モバイルによる投資抑制で2,000~3,000億円の縮小となるものの、全体的な傾向ではない点に注意したい。
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