「ネットには匿名性も必要」と平野啓一郎が思う訳 メタバースの「思いがけない差別」に教育的価値
ヨーロッパなどでは「忘れられる権利」がよく言われますが、適度に使い捨てられていくべき言動もあるかなと。とくに若い人がSNSをやるときにすべてを実名で発言すると、その後の人生への影響が大きすぎて、危険だと思います。だから判断力がつかない間は、「裏アカ」とか、匿名性に守られる必要もあるんじゃないかと思うんですね。 なんにせよ、「物言わぬは腹ふくるるわざなり(※)」と大鏡にも徒然草にも書いてあるように、人間はやっぱり、何か言いたいんですよね。(※編集部注:言いたいことを言わずにいるとわだかまりができるので、我慢しすぎるのはよくない)
そういう意味で、僕はああいう(SNSなどの)メディアが出てきた意味はあると思うし、それがなかったときと今とどっちがいいかと問われたら、やっぱりそれがある今の世界のほうがいいと思っています。
長瀧 菜摘 :東洋経済 記者