食物アレルギー予防にはスキンケア? アレルギー発症の要因と対策(専門家が監修)
大好きなのに食べられない、触れない。そんな悲しいアレルギーは、カラダの防御反応だの、免疫の暴走だのいわれるけれど、それって実際どういうこと? 抗原―抗体の基礎知識から新たな研究報告まで、その全容を知れば、次の一手が見えてくるかもしれない。今回は、アレルギーを起こすアレルゲンに注目し、その正体や予防策をご紹介。[取材協力/山田佳之(東海大学医学部教授)、伊藤浩明(あいち小児保健医療総合センター センター長)]
教えてくれた人:
山田佳之さん(やまだ・よしゆき)/東海大学医学部総合診療学系小児科学教授。米国シンシナティ小児病院メディカルセンター、群馬県立小児医療センターなどを経て現職。専門は食物アレルギー、小児アレルギー。消化管アレルギーにも詳しい。医学博士。 伊藤浩明さん(いとう・こうめい)/あいち小児保健医療総合センター センター長。米国留学、国立名古屋病院小児科などを経て現職。日本小児アレルギー学会食物アレルギー委員会副委員長として『食物アレルギー診療ガイドライン2021』を監修。医学博士。
アレルゲンとはタンパク質である
ストレスを起こすのがストレッサーなら、アレルギーを起こすのはアレルゲン。その正体とは? 「アレルゲンの多くは、本来無害なタンパク質。食物アレルギーでは食べ物中のタンパク質、花粉症は花粉に含まれるタンパク質がアレルゲンです」(あいち小児保健医療総合センターの伊藤浩明センター長) タンパク質は、20種類前後のアミノ酸が無数に連なり、立体構造を取ったもの。アミノ酸の種類や作りの違いにより、ヒトの体内にはおよそ10万種ものタンパク質がある。免疫の基本のキは、自分と他者を見分け、他者を排除すること。その手がかりとなるのが、タンパク質。タンパク質にはそれぞれ個性があるからだ。 「肉類に食物アレルギーが少なく、魚類に多いのは、肉類の可食部である筋肉のタンパク質の作りがヒトの筋肉と似ているのに対し、魚類のタンパク質は違いが多いからです」 タンパク質で、IgE抗体と結合してアレルギー反応を起こしやすい特定の部分を「アレルゲンコンポーネント」と言う。なかでもアレルギー患者の50%以上でIgE抗体が検出され、症状が出やすいものを「主要アレルゲン」と呼ぶ。牛乳のカゼイン、小麦のグルテンなどがある。