今年度から徴収される「森林環境税」とは? 国民1人当たりの負担、具体的な使い道、課題を専門家が解説
モデル・タレントとして活躍するユージと、フリーアナウンサーの吉田明世がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」(毎週月曜~金曜6:00~9:00)。4月11日(木)放送のコーナー「リポビタンD TREND NET」のテーマは「2024年度から1人1,000円徴収される”森林環境税”」。情報社会学が専門の城西大学 助教・塚越健司さんに解説していただきました。
◆今年度から1人年額1,000円徴収される「森林環境税」
「森林環境税」が2024年度から新たに住民税に上乗せされる形で徴収されます。対象者は日本国内に住所がある個人。一律1人あたり年額1,000円となっており、税規模は約620億円が見込まれています。 ユージ:塚越さん、「森林環境税」とはどんな税ですか? 塚越:今年度から自治体の森林整備などに必要な財源を確保するため、1人につき年額1,000円が徴収されます。納税義務者は約6,200万人。税収は1年で約620億円にのぼるといわれています。 この「森林環境税」で集められた税金は、全額が国から都道府県市町村に「森林環境譲与税」として配分されます。各自治体は、その税金を使って間伐や林道の整備、林業の担い手の育成、木材利用の促進などをおこないます。簡単に言えば、森林環境税で国民から年1,000円を徴収して、それを「森林環境譲与税」として自治体に配分するということになります。
◆日本は国土面積の約7割が森林 具体的な税の使い道は?
ユージ:似た名前の”税”が2つ並びますが、その「森林環境譲与税」とは、どういうものですか? 塚越:もともとは2015年の「国連気候変動枠組条約 第21回締約国会議(COP21)」で採択された「パリ協定」にあります。ここで温室効果ガスの排出削減目標などが設定され、そこから2019年に森林環境税と森林環境譲与税が創設されました。 ただし、森林整備は緊急の課題ということで2019年度からすでに国庫からの交付金として「森林環境譲与税」の配分は始まっています。つまり、前倒しで国がお金を出しています。 日本は、国土面積の約7割が森林を占める森林大国です。最近、木材価格の低迷や、所有者がわからない森林の増加、林業の働き手不足が深刻な課題になっているので、国土の保全や水源の保護などが非常に重要ということで導入されました。 吉田:森林環境譲与税の現在の使い道はどうなっているのでしょうか? 塚越:都道府県や市町村では、使い道を公表しなければなりません。実際に総務省のWebサイトに掲載されている活用例として、青森県西目屋村では木質バイオマスを利用して道路の雪を溶かす融雪の実施や、高知県仁淀川町では林業の研修制度による担い手の確保などに使われています。他にも、人材確保のため防護ズボンや安全靴、ヘルメットといった物品購入費用の支援などに使っている自治体もあります。