今年度から徴収される「森林環境税」とは? 国民1人当たりの負担、具体的な使い道、課題を専門家が解説
◆森林の少ない都市部では有効活用しきれない自治体も…
ユージ:森林が多い自治体は使い道がありそうですが、森林の少ない都市部では、どうでしょうか? 塚越:そうなんです。東京新聞が関東7都県や東京23区など、合計38ある自治体の2019~2022年度までの使用状況を調べたところ、東京都や川崎市などは資金を100%使用する一方、さいたま市や東京の板橋区、豊島区といった10の自治体は半分も使っていませんでした。 さらに、4年間で支出が0円だった大田区や渋谷区、台東区は約3億6,000万円の全額を基金として積み上げていて、今後の事業に使うということです。 総務省の担当者は、基金への積立も自治体の判断でOKだと言っているのですが、特に森林が少ない都市部で、使い道がないまま溜め込むのはいかがなものかというのもあります。 全国でみても2019~2022年の4年間の予算使用率は、速報値で61.4%とあまり使われていません。自治体は人材不足なので、お金を貰ったところで林業の担当者が事業に活用することができない実態もあるかと思います。
◆私たちも「税の使い道」をチェックする必要あり
ユージ:自治体ごとの使い方に大きく差が出る「森林環境税」について、どう思いますか? 塚越:まずは配分の仕方に課題があるかなと思います。今年度からは自治体への配分基準も見直すということで、人口に応じた割合よりも森林面積の比重をより重視し、山間地により多く配分されるようにするとしています。今は、森林面積の50%の比率を55%引き上げて、人口を5%下げるだけなので、根本的な解決にはなりません。 先ほども申し上げましたが、森林が多いところは自治体としても人材不足なので、お金だけ渡しても、なかなかそれで何をするかは難しい……という話もあります。実際に2022年のNHKの報道でも、担当者は「人材が足りない」と言っています。 私たちも年額1,000円払う税金なので、使い道はこれでいいの? とも思います。だったら、もっと良い使い道があると思いますよね。税金を取るだけではなくて、実際どういう使い方をするのかを我々もチェックして、発信していかないといけない。そうすることで、より良い使い方をしてくれるよう(政府に)圧力をかけていく方法もあると思います。 (TOKYO FM「ONE MORNING」2024年4月11日(木)放送より)