貿易戦争や産業戦争に勝者はない、駐米中国大使が演説
Liz Lee Laurie Chen Ryan Woo [北京 8日 ロイター] - 中国の謝鋒駐米大使は、米大統領選でトランプ前大統領の勝利が決まった後に米中ビジネス評議会の夕食会で演説し、関税戦争や貿易戦争に勝者はおらず、科学技術戦争や産業戦争にも勝者はいないと述べた。 大使は米国企業の対中投資や中国進出を奨励。気候変動や人工知能(AI)など国際的な課題を巡る対話と協力の強化を期待していると語った。 大使館のウェブサイトに講演内容が掲載された。トランプ氏や大統領選への直接の言及はなかった。 大使は「中国と米国は協力を通じて多くの素晴らしいこと、良いことを実現できる。協力のリストをどんどん増やすべきだ」と発言。マクドナルドの過去1年間の新規出店数は中国が最多で、世界全体の約6割を占めたと指摘。上海には世界の主要都市で唯一、スターバックスのカフェが1000店舗以上あると述べた。 「双方に有益な協力というサクセスストーリーは多ければ多いほどよい」とし、両国の相違は「拒絶や対立の口実」ではなく、交流や相互学習の原動力となるべきであり、それぞれの国の成功が互いのチャンスになると語った。 しかし中国を封じ込めたり抑圧したりするいかなる試みも「壁にぶつかる」だけだと警告した。 アナリストは新たな貿易戦争が生じた場合、中国は反撃する用意があるとの見方を示している。 北京のコンサルタント会社トリビアム・チャイナのシニアアナリスト、ジョー・マズール氏は「仮に米中関係が突然改善したとしても、中国は自給自足と経済安全保障を優先し続ける」と述べた。 「(米国による追加関税が)もし発動されれば、中国側はかなり強力な報復措置を取るとみられる。中国は穏便に対応しても何も得られず、強硬な反撃をすれば米国は経済的圧力を再考する可能性があるという考えだろう」と解説した。 キャピタル・エコノミクスの中国経済部門責任者ジュリアン・エバンス・プリチャード氏は7日のメモで「米国が中国製品に60%の関税を課したとしても、直接的な影響は中国の国内総生産(GDP)の1%をかなり下回ると推定している」と記した。