アニメ『しかのこのこのここしたんたん』“意味がわからない”OP曲はなぜバズった? “癖になるフレーズ”がヒットの狙い目に
TVアニメ『しかのこのこのここしたんたん』(TOKYO MXほか)のオープニングテーマ「シカ色デイズ」が、SNSを中心にバイラルヒット中。YouTubeで公開されているノンクレジットオープニング映像も1000万回再生を突破した。 【画像】水樹奈々、森口博子、宮野真守らアニソンレジェンドが集結 『しかのこのこのここしたんたん』は、『マガジンポケット』(講談社)にて連載中の同名マンガを原作としたTVアニメ。女子高生 虎視虎子(こしとらこ)が、ツノの生えた少女 鹿乃子(しかのこ)のこと出会うことで人生がかき乱されていくというガールズコメディだ。 オープニングテーマである「シカ色デイズ」は、5月28日に同作品の公式TikTok上にイントロ部分をキャラクターが踊る映像が公開されると、若者を中心にダンス動画が多数投稿され、たちまち大人気楽曲に。日向坂46やK-POPグループ TWSのメンバーもダンス動画を投稿するなど、その人気は芸能界にまで広がっている。 元アニソン誌編集者は同曲のヒットについて次のように解説する。 「リズミカルで思わず口ずさみたくなる楽曲のキャッチーさ。すぐに踊ることのできる難易度の振り付け。そして思わず笑ってしまうようなシュールな動きという点が人気のポイントだと考えられます。イントロの〈しかのこのこのここしたんたん〉は、まさに声に出して読みたくなる語感の良さで、非常に癖になるフレーズ。この中毒性の高いフレーズやシュールかつ簡単なダンスなど、直近で大ブームとなったCreepy Nuts『Bling-Bang-Bang-Born』と多くの類似点があることに気がつくと思います」 続けて“ダンスのバリエーション”という点も重要な要素だと指摘する。 「なんと先日公開されたOP映像では、バズを起こしていたイントロの振り付けがまったく違うものになっていました。しかし本映像が公開されてからは、新しい振り付けを踊る投稿も増えており、このように2パターンの振り付けが存在する自由度の高さも、ユーザー目線では嬉しく、より大きなバズを生んでいる理由かもしれません」 さらに、「ニコニコ動画」や「MAD」といった古き良きオタク文化との共通点も重要だと言う。 「ティーンからのバズりが起こりやすいSNSとの相性はもちろんですが、『ニコニコ動画』や『MAD』のような古き良き空気感が滲み出ているのもこのバズの要因かもしれません。というのも、OP映像が公開されるより先に『スタッフの頭から離れてくれないイントロを皆様にプレゼント』の紹介文とともに『「シカ色デイズ」イントロ耐久1時間』という狂気の動画がアップされており、こちらもすでに680万回再生を超えています。 さらにABEMAでは、6月22日に『「しかのこのこのここしたんたん』 OPイントロ24時間独占耐久放送』を実施しました。原作者のおしおしおは、Xにて『なぜですか?』と困惑の引用RP。このような様々な施策や現在のネットにおけるシーンの巻き込み方など、公式によるマーケティングの成功例とも言えるのではないかと思います」 また、過去にもアニソン×ダンスの組み合わせでバズを起こした楽曲は少なくない。同氏は「シカ色デイズ」のダンスの手軽さもバズの要因だと語る。 「アニソン×ダンスの例で言うと、ハルヒダンス『ハレ晴レユカイ』、チカダンス『チカっとチカ千花っ♡』など、キャラクターが全身を使って踊る、映像ならではの躍動感のある振り付けを楽しむケースも多く存在します。ただ、今回のシカダンス(?)はショートサイズかつ座ったままでも踊れますし、比較的簡単にカバーして楽しむことができ、あるいは全身を映してしっかり踊っても映える振り付けになっています。楽曲、振り付け、マーケティング、あらゆる要素が混ざり合い、ネットシーンであらゆる層にヒットしていますが、アニメ放送がスタートした今後もどのような形で作品が動いていくのか、期待したいです」 現在、日本のほか、海外でも徐々に広まりつつある「シカ色デイズ」。楽曲配信は7月8日に始まったばかり。「Bling-Bang-Bang-Born」のようなヒットになるか、チャートアクションにも注目だ。
リアルサウンド編集部