ゴールドマン、「AI台頭でリベラルアーツ重要」-論理や批判的思考
(ブルームバーグ): 米投資銀行ゴールドマン・サックス・グループでテクノロジービジネスとイノベーションを統括するジョージ・リー氏は、人工知能(AI)について、同行と金融業界の至る所に多大な影響を与えると予想されるが、リスク抑制にはヒトの助けが必要との認識を明らかにした。
ウォール街の巨人でアプライドイノベーション共同責任者を務めるリー氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、「グループに加わる人間について、われわれは非常に厳格であり、今のところ顧客とじかに接していない。細心の注意を払うべき多くの限界と不安、リスクが存在する」と語った。
ゴールドマンのテクノロジーバンカーの経験がキャリアの大部分を占めるリー氏はその一方で、AIがディールメーカーの一番の味方になりそうな将来像を描いてみせた。
「常にオンで限りなく忍耐強く、幅広い知識に富む仲間、思考のパートナー、博士号レベルのアシスタントが意のままに働いてくれる状況を想像してほしい。われわれの優秀な人材が、これまでとてつもなく難しかった問題の質疑を行ったり、顧客のためにより多くのアイデアを出したり、より多くの仮説を検証したりできる能力は、素晴らしいと思う」と同氏は語った。
ゴールドマンは技術系の人員増強に長く力を注いできたが、AIの台頭は「(言語や文学、歴史、哲学を含む)リベラルアーツの復権」につながるとリー氏は指摘。「この新たな知性との協力で本当に重要な幾つかのスキルは、批判的思考、ロジック(論理)とレトリックの理解、創造力だ。非技術系の人々が一層多くのことを成し遂げ、かつて技術分野と考えられてきた仕事を行えるようになるだろう」と述べた。
ウォール街の金融機関はリサーチ部門のほか、顧客資産運用の支援ツールとしてテクノロジーに頼るファイナンシャルアドバイザーの間で、AIを試験的に活用している。しかし、対話型人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」を開発した米オープンAIなどとの大規模提携には多くの銀行が慎重だ。