【風吹ジュンさん・インタビュー/前編】風吹ジュンさんが思う、江口のりこさんの新しさとは?
撮影したのは昨年(2023年)の夏真っ盛り。今年も暑いけれど、去年も記録的な猛暑だった。 「陽ざしがガーンと強くて、焼けるように熱い庭をずっと、何時間も眺めていた印象があります。 でも現場の空気はとても良くて、私にも何かできることはないかしら?と思って、江口さんがスープが飲みたいっておっしゃったので、バクテースープ(=肉骨茶。シンガポールなどでよく食べられている、豚の骨付き肉を生薬とともに煮込んだスープ)を作りました。 近所の方からスイカの差し入れがあったり、誰かがおいしいコロッケを買ってきてくれたり、みんなに応援してもらいながら乗り切ったの(笑)」 物語の中心にあるのは、不倫。最近はネットでもサレ妻、サレ夫などのキーワードが飛び交っているけれど。 「私もかつては同じような境遇にあいました(笑)。ほんとほんと、記憶が蘇りましたよ」 さらっと、当時の心境を話してくれた。 「とっくの昔のことで、いろいろ忘れているんですけど。時薬(ときぐすり)っていうけど、本当ね(笑)。それに私の場合は、別れてくれと言われて、むしろ良かったんです。 私は自分の親も離婚しているから、その轍(てつ)を踏むまいと、良い奧さんになって良い母親であろう、とにかく良い家庭を作ろうと思って、頑張っていたんです。 それがある日突然、夫から別れてくれと言われた瞬間、心の中で『神様いる! ヨッシャー!』って(笑)。そこに至るまで、10年間自分を抑えていたわけですから」 作品の中の桃子は、そんな状況に必死で抗おうとするけれど。 「すごく精神的にキツイと思うけど、終わったほうがいい関係って、ありますよね。大丈夫、女子は強いから。時が経てば吹っ切れることが多いから」
それにしてもこの作品、桃子をすぐそばで見ているような、リアルな感覚。そして後半、思いがけない展開に、ぐいぐい引きこまれる。さらに見終わったあと、妙にスッキリ。まるで思いきり汗をかいた後みたい。 「フィルムで撮っているからだと思います。やっぱりフィルムの力ってすごくて、その空気の中に自分が連れて行かれるような臨場感がありますよね。デジタルで撮るのとは、全然仕上がりが違います。 だからぜひ、映画館で体感してほしい。そういう作品です」 『OurAge』に登場するたびに、元気の素をいろいろ教えてくれる風吹さん。今回も惜しみなく、新鮮なアイデアを教えてくれた! ニッコニコで最新作を推してくれる風吹さん、相変わらずキレイで元気だ。72歳の今も次から次へと、ドラマや映画に出演中。いったいどうしてそんなに元気なの? という問いに対する答え(風吹さんが愛用しているサプリや、最近ハマっている体にいい食べ物など)は、インタビュー後編で。