【風吹ジュンさん・インタビュー/前編】風吹ジュンさんが思う、江口のりこさんの新しさとは?
風吹ジュンさんのプロフィールにまたひとつ、面白い作品が加わった。話題の映画『愛に乱暴』で、主人公・桃子(江口のりこ)の姑・照子を演じている。一見平和な日常生活に不穏な出来事が起こり始める、ちょっとホラーでスリリングな展開を、ヒロインのそばで演じていた風吹さんは、どんな視点で見ていたのだろう?
「大丈夫、女子は強いから」
「面白いのよ、この映画。ちょっとトガっていて、中身がぎゅぎゅぎゅって濃くて。監督の森ガキ侑大さんたちが原作に愛情とリスペクトを込めて素敵な脚本を書いてくれたから、私たち俳優陣もそれを読むだけで映像がぱーっと浮かんでくるような気持ちになって。撮っていて、すごく楽しかった!」 『愛に乱暴』は、40代の専業主婦・桃子の周囲で不穏な出来事が起こり始め、心も体も生活も少しずつ、だけど確実に、崩壊していく物語。桃子の日常生活は次第にギクシャクしていき、見ているこちらもザワザワドキドキ、感情が一緒に波立ってくる。 風吹さんが演じるのは、桃子夫婦と同じ敷地内に住む夫の母親、つまり姑・照子。 「照子さんは、普通のお姑さんだと思うんですよ。嫁に対する距離感というか、意地悪ではないんだけど、取りようによっては意地悪に見えるような。 息子の恋愛関係って、わかっていてもやっぱり親は立ち入れなかったりするから、ちょっとだらしない息子への態度とか、さじ加減が難しかったです」 ヒロイン桃子を演じるのは、個性と実力を併せ持つ江口のりこさん。 「素晴らしい女優さんだなとずっと思っていたんですけど、実際にお会いしたら、姿勢もよくてすっとしてらして。静かだし集中力がすごいし、でも優しくて自然体で、普通の方なんですよ。 変な言い方だけど、昔からある女優のイメージとはまったく違う、彼女だけのスタイルをちゃんと持っている、新しいタイプの女優さん。作品や役に対して、完全に自我を外している感じが、私はすごく好きですね」 桃子の夫を演じるのは、小泉孝太郎さん。すぐにはそうと気づかないほど、従来のイメージをかなぐり捨てて役を作っている。 「ね、見えますものね、ああいうダメな男に。そうそう、愛に乱暴な人(笑)」