「反移民・反ウクライナ」…第2次トランプ政権、「強硬派」揃いの外交・安保担当
ドナルド・トランプ次期米大統領がウクライナ支援に懐疑的なマイケル・ワルツ共和党下院議員を国家安全保障担当の大統領補佐官に、反移民強硬派であるスティーブン・ミラー元大統領上級顧問を大統領次席補佐官に指名する予定だと、米国のマスコミが報道した。第2次トランプ政権は、ウクライナ支援に懐疑的で違法移民者の大量追放を公約したトランプ氏の意向に従う忠誠派で固められている。 ウォールストリート・ジャーナル紙は関係者たちの話として、トランプ氏が外交・安全保障分野で自身を補佐し関連機関を調整する役割をワルツ氏に提案したと報じた。ワルツ氏は陸軍特殊部隊であるグリーンベレーと州防衛軍などで27年間服務し、アフガニスタン、中東、アフリカに派兵された経歴の持ち主。 トランプ氏の居住地であるフロリダの選挙区で3期目を迎えたワルツ氏は、トランプ氏の政策を積極的に支持してきた。2021年に起きた「米国国会議事堂襲撃事件」後には、これを調査する特別委員会構成法案に反対票を投じた。 ワルツ氏は昨年、FOXニュースへの寄稿で、「議会がウクライナに白紙小切手を与える時代は終わった」と述べた。また、トランプ氏同様、北大西洋条約機構(NATO)の欧州側加盟国が防衛費支出を増やさなければならず、「NATOが米国を戦争に引き入れる前にロシアを止めるべきだ」とも主張した。最近、「NPR」とのインタビューでは、ロシアが戦争を終わらせるのに協力しなければ、米国がウクライナに供給した長距離兵器の使用範囲を広げ、圧力を加えることもありうると語った。 下院軍事委員会と情報委員会などで活動してきたワルツ氏は、下院で中国を抑制する目的で作った「中国特委」にも所属し、強硬な反中国の態度も示してきた。 また、北朝鮮とロシアの軍事協力については「危険な同盟」だとし、ジョー・バイデン政権が軍需物資輸送船舶を拿捕し、制裁を強化すべきだと主張した。2020年にはメディアとのインタビューで、トランプ氏と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の首脳会談が再び進められる可能性があるかという質問に対し、懐疑的な立場を示した。 ニューヨーク・タイムズ紙は、トランプ氏が国務長官としてはフロリダ州のマルコ・ルビオ上院議員を指名する見通しだと、トランプ氏側の関係者たちの話として報じた。ルビオ氏は2016年の共和党大統領選挙に出馬し、トランプ氏を批判したが、今はトランプ氏に忠誠を誓う人物とされる。ルビオ氏は孤立主義色の強い共和党議員たちとは異なる立場だったが、徐々に彼らと同化する姿を見せたと同紙は報じた。ルビオ氏はウクライナ戦争に対しても「結論を下さなければならない」とし、交渉を通じて積極的に終戦に向けて努力すべきと主張しており、中国とイランなどに対しては強硬な立場を示している。 CNNなどは第1次トランプ政権当時、反移民行政命令と国境の壁の設置など強硬な政策の設計者であるスティーブン・ミラー元大統領上級顧問が大統領次席補佐官に指名される予定だと、11日付で報道した。演説文の作成者でもあったミラー氏は「アメリカファースト」政策に関するトランプ氏の策士ともいえる。今回の大統領選挙の過程で、未登録移民者の大量追放公約もミラー氏の手を経たものだという。ミラー氏は、トランプ氏が当選すれば未登録移民者の追放規模を今の10倍の年間100万人に増やすとも語った。 CNNは12日、国土安全保障省の長官にはサウスダコタ州のクリスティ・ノーム知事が指名されたと報道した。ノーム氏は税関・国境取締局、移民・関税執行局、米連邦緊急事態管理庁、シークレットサービスなどを監督する膨大な機関を総括する任務を任されるものとみられる。トランプ氏はこれに先立ち、「トゥルース・ソーシャル」とのインタビューで、トム・ホーマン元移民・関税執行局長職務代行を「国境ツァーリ」に任命すると明らかにした。未登録移民者の大量追放公約を実行に移す意志を示すとともに、強硬派、忠誠派を起用する人事基調が明確になっている。 トランプ氏は他の役職の人事でも忠誠派と強硬派を起用している。同日、環境保護庁(EPA)長官に指名したリー・ゼルディン元共和党下院議員も忠誠派だ。反環境主義者として知られるゼルディン氏はFOXニュースとのインタビューで、 ジョー・バイデン政権の「左派規制」を撤廃すると述べた。 ワシントン/イ・ボニョン特派員、キム・ミナ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )