ハリルが選んだ24人から見えるW杯アジア最終予選の戦い方
9月1日に行われるW杯アジア最終予選第1節のUAE代表戦(埼玉スタジアム)、同6日の第2節のタイ代表戦(バンコク)に臨む日本代表メンバー24人が25日、日本サッカー協会から発表された。 東京・文京区のJFAハウスで記者会見に臨んだヴァイッド・ハリルホジッチ監督が個別の選考理由を踏み込んで説明し、発表直前でリストから外した選手の実名も公表する。約1時間20分に及んだ熱弁から伝わってきたのは、ロシア行きの切符をかけた戦いに挑むうえでの妥協を許さない姿勢だった。 まずはゴールキーパーからサイドバック、センターバックとポジションごとに選手名がスクリーンに映し出されていくなかで、長谷部誠(フランクフルト)に続くボランチの2人目で意外な名前が登場した。 唯一のJ2クラブ所属となる山口蛍(セレッソ大阪)は今月に入って、指揮官から「いまの状況ではA代表で先発するのは難しい」と露骨に不快感を示され、山口自身も当面はハリルジャパンに招集されないことを覚悟していた。 山口は6月19日、ブンデスリーガ2部に降格したハノーファーから古巣のC大阪へ復帰した。わずか半年でヨーロッパでの挑戦に終止符を打った山口を、ドイツでプレーすべきだと必死に説得していたのがハリルホジッチ監督だった。 「ホタルに関しては、まったく喜んでいない。彼を元気づけるために私はヨーロッパへ行き、さらに伸びるためにも(ハノーファーに)残って先発を勝ち取ってほしいと伝えた。いいプレーをするためのクオリティーはすべて持っていたし、ドイツでしっかりと戦えば、A代表にとって興味深い選手になるはずだった」 フランスで開催されていたユーロ2016視察と夏季休暇を終えて、来日した直後の今月上旬に漏らした不満をこの日の会見でも繰り返した指揮官は、一方でこんな言葉をつけ加えてもいる。 「戻ってきたことに関しては高く評価していないが、いい選手を簡単に手放すこともできない。ホタルのようにしっかりとボールを奪える選手はなかなかいない。J2でどのようにプレーしているのかも3回ほど見た。ここにいるということは、彼がいいプレーヤーであるということだ」 UAEの攻撃を差配するのは、左利きの司令塔オマル・アブドゥルラフマン。ハビエル・アギーレ前監督のもとで臨んだアジアカップ2015で、PK戦の末にUAEに屈した準々決勝でも、24歳のオマルがもつ正確さとスピードに散々苦しめられた。 そのアジアカップに山口は出場していない。指揮官はおそらくオマル封じのキーマンとして、ボールホルダーへのアプローチの速さと球際の強さに長けた山口が最適だと考えているのだろう。 「10番のオマルをフリーにしたら、好きなところにボールを蹴ってくる。そして、彼がボールをもった瞬間に、3人ほどの選手が背後へ走る準備をしている。私とスタッフでUAEの試合を十数試合も見た。選手にも映像を見せ、トレーニングにも落とし込むが、試合では90分間集中し続けなければいけない」