ハリルが選んだ24人から見えるW杯アジア最終予選の戦い方
そして、リスクマネジメントの観点から、「組織」の和を乱しかねない危険な要素は取り除いておく必要がある。7人のFWの名前を読み終えたハリルホジッチ監督は、「言わなければいけないことがある」と金崎夢生(鹿島アントラーズ)を外したことを自ら明かしている。 「彼の態度は私には受け入れがたい。招集リストに入っていたが、あのような行動を取ればA代表には入れないと、すべての選手に伝えたい。(金崎に関して)この先のことはまったく考えていない。UAE戦への準備に集中しているので、その後にゆっくりと考えたい」 金崎は湘南ベルマーレをホームに迎えた20日のセカンドステージ第9節で、後半25分にベンチへ下げられたことに激昂。石井正忠監督との握手を二度にわたって拒否し、足元にあったものを蹴り上げた後も怒り心頭になって、石井監督に詰め寄ろうとしたところをスタッフに制止された。 前代未聞の行為は、自らの感情をコントロールできない証でもある。昨年11月から継続的に招集されてきた金崎だが、10日間に及ぶ今回の招集期間で再び感情を爆発させるような事態が起これば、組織にネガティブな影響を与えて内部からの崩壊を招きかねない。 金崎を浅野拓磨(アーセナル)に代えたハリルホジッチ監督は、公の場であえて金崎の実名を公表。その結果として、ロシアの地を目指すチームに加わるために必要不可欠な「ココロ」をすべての選手たちに伝えたことになる。 「初戦は常に難しいが、UAEへのリベンジよりもさらに強い気持ちと勇気をもって、私が一番好きな言葉であるビクトリーを目指して、言い訳を探すことなく戦っていきたい」 25日にカタールで行われたUAE代表の練習試合に偵察スタッフを派遣するなど、白星発進へ向けて入念な準備を進める指揮官のもとで、日本代表は28日から埼玉県内でキャンプをスタートさせる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)