ハリルが選んだ24人から見えるW杯アジア最終予選の戦い方
そして、トップ下として香川真司(ボルシア・ドルトムント)、清武弘嗣(セビージャ)の名前をあげた直後に、これまで名前はもちろんのこと、選手名を特定させる情報すら明かさなかったバックアップの選手にも言及した。 「少し年齢が上だが、川崎でプレーする35歳の選手だ。彼のことは常に頭のなかに入っている」 川崎フロンターレで35歳といえば、2013年のコンフェデレーションズカップを最後に代表招集から遠ざかっている中村憲剛しかいない。誰よりもハリルホジッチ監督自身が就任以来、年齢を理由にあげてMF遠藤保仁(ガンバ大阪)やFW大久保嘉人(川崎)のベテラン勢を選外としてきた。 「W杯本大会へ向けては若い世代を育てていきたいが、結果が求められる最終予選となれば緊急事態も起こりうる。香川や清武がもしけがをした場合、私が見てきたなかで使ってもいいと思っている選手だ。最終予選ではリスクを取れない。ハイレベルや予測がカギになってくる。悪いことに関して驚いていては、すでに遅いのだ」 緊急事態に備えて、現時点で最も躍動感あふれるプレーを見せているJリーガーをスタンバイさせる。一時的にせよ年齢という壁を取り払い、山口を復帰させたように、J2というカテゴリーにもとらわれない選手選考から伝わってくるのは、日本サッカー界という組織が一丸になって戦う、というスローガンだ。 日本中を熱狂の渦に巻き込んだリオデジャネイロ五輪。ハリルホジッチ監督も魅せられた一人だったのだろう。銀メダル獲得で世界に衝撃を与えた陸上の男子400mリレーの戦い方が、アジア最終予選突破にも求められると力を込めた。 「アメリカのスプリンターは、一人で走ると誰よりも速い。ただ、日本は全員で走ればアメリカよりも速かったし、勝てるという自信をもって臨んでいた。組織になったら日本は何でもできると、A代表にも伝えたい。自分をリスペクトして、相手もリスペクトする。このプロジェクトには全員が入らなければいけない。日本全員で勇気をもち、前へ進んでいく」