韓国人でなくとも怒りが湧いてきた 戒厳令の夜、私がソウル国会前を離れなかった理由 弁護士・猿田佐世
「すごい」と思った矢先、私の左斜め前5メートルほどのところにいた男性が、「左から軍が投入された」と叫んだ。 「ついに逃げるか」と私は身構えた。 しかし、なんと、その声を聞いた何人もがすぐに彼に呼応し、「軍を入れさせるな!」と叫んで、彼と共にそちらの方向に向かっていったのである。他の人たちも続き、後ろを振り返って「みんなこっちへ!」と呼びかけながら走っていった。 警察車両の真ん前に立ちふさがって、たった一人で警察の車を止めていた20代くらいの女性もいた。彼女は、何か叫ぶでもなく、手を振り回すでもなく、ただただ静かに警察車両の前から動かなかった。 国会議事堂の窓ガラスを軍隊が破って入った。 中では消化器をまいて、軍の侵入を止めようとしている。 ……通訳を買って出てくれた若者がニュースを見ながら次々教えてくれた。 〉〉後編【韓国のデモ、なぜ日本より圧倒的に若い世代が多かったのか 「戒厳令止める一人に」】に続く
猿田佐世