気温40度で車内エアコンなし…UPSで宅配ドライバーの暑さ関連事故が多発
去年は暑さで運転手が死亡
実は、昨年もこの同じ配送センターに勤務するドライバーが、業務中に熱中症を発症したそうです。 運転手のChris Begleyさんは昨年8月、配達中に熱中症で意識を失いました。当時の配送センターの対応も、労働ユニオンと当局に批判されました。UPSは、救急車を呼ぶでもすぐに病院に連れて行くでもなく、誰もいない自宅にBegleyさんを送りました。 Begleyさんは4日後に病院へ搬送されましたが、その日のうちに亡くなりました。この件では、UPSは当局から罰金処分を受けています。それなのに、1年後にまた同じような対応をしたとして、Begleyさんの遺族と労働ユニオンは同社を批判しています。
相次ぐ宅配ドライバーの熱中症
これまでにも、熱中症を起こしたと思われる宅配ドライバーがセキュリティーカメラに捉えられています。 2022年には、気温40度の中で配達していたUPSのドライバーが玄関先でしゃがみ込む様子が、2023年にはテキサスでAmazonの配達員が玄関前に荷物を置こうとしてフラつき、壁にもたれて倒れずにすんだ映像がニュースで取りあげられました。 問題はわかっているはずなのに、解決できないのか、解決しようとしないのか…。
暑さに追いつかない改善策
UPSは、安全に関する研修への年間4億ドル以上の投資、車両や施設への冷房の増設、冷却服の支給、氷や水の提供など、暑さ対策を実施していると主張しています。 また、UPSによると、ダラス都市圏で今年1月以降に導入された宅配トラックにはエアコンが標準搭載されているそうなのですが、労働ユニオンのCEOは、彼の知る限りエアコン付きトラックは1台も見たことがないといいます。 重い荷物の積み下ろしや配達を朝から夜まで続ける宅配業務は、暑くなくても大変です。それをエアコンなしの40度で毎日なんて、健康な人でも体力を奪われます。ニュースになっていないだけで、暑さに苦しんでいるドライバーはもっといるんでしょうね。 長期的に見ると、温暖化の進行で今後も夏の暑さは厳しさを増していくはずです。屋外労働や肉体労働に従事する労働者を守るための対策を温暖化に負けないペースで実施する必要があります。 ドライバーがいてこその宅配業。何よりも大事に扱ってほしいものです。 Source: NBC 5 Reference: NBC News / YouTube, WFAA, NBC 5, NBC News, KHOU, CBS News
Kenji P. Miyajima