ニットを楽に洗濯するには?洗濯ブラザーズに聞いてみた
冬のファッションアイテムといえば、ニット。綺麗な状態を保つには、クリーニングに出すのがベストではありますが、着用機会の多いお気に入りのニットは、できれば自宅で洗濯したいですよね。洗濯のプロである洗濯ブラザーズの茂木貴史さんによれば、「正しい手洗い方法を覚えれば、クリーニングは一切不要になります」とのこと。“ニットの手洗い“と聞くと、面倒臭く感じてしまう(本音を言えば洗濯機に丸投げしたい...!)ズボラな筆者ですが、そんな人にもおすすめの“10分で完結する“手洗い方法から、衣替えの時期に実践できる手入れや保管の手順を教えてもらいました。 【写真】ハンガーを2つ使ったニットの正しい干し方 洗濯ブラザーズ 茂木貴史、茂木康之、今井良の3人で結成し、毎日の洗濯を楽しくハッピーにするための活動をするプロ集団。横浜と東京都世田谷区の三宿で、クリーニング店「LIVRER(リブレ)」を経営するかたわら、劇団四季、シルク・ドゥ・ソレイユ、クレイジーケンバンドなど国内外の有名アーティストの衣装クリーニングを行う。また、オリジナルのナチュラル洗剤も開発し、好評を博している。全国の百貨店、セレクトショップなどでイベントやセミナー、講演を行っている。毎日の洗濯が「嫌いな家事」から「好きな家事」になるように、洗濯の楽しさを伝える活動をしている。主な著書に、9万部突破のベストセラー『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(アスコム刊)がある。
洗濯機で洗えるニット素材とは?
ニット素材は「手洗いかクリーニングで洗濯するべき」というイメージがありますが、実は、動物性繊維と化学繊維の混紡素材のみ、洗濯機での手入れが可能なんだそう。当然、洗濯表示で「水洗い不可」の記載があるものはクリーニング一択になりますが、ウールとポリエステルなど、動物性繊維と化学繊維の混紡素材で「水洗い可」の表記があるものに限り、洗濯機で洗うことができます。 茂木さん: 洗濯機の遠心力は想像以上に激しく、簡単に言うとニットを振り回しているような状態です。本来、水に弱い性質のニットが、さらに遠心力で振り回されたら、当然傷んでしまいますよね。ニットは「いかに遠心力を与えないか」「いかに水に浸ける時間を短くするか」を第一に考えながら洗濯する必要があるため、基本的には洗濯機の使用はおすすめできないんです。しかし、動物性繊維と化学繊維の混紡素材は、ニットの中でも丈夫で長持ちする性質があるので、以下のポイントを押さえれば、洗濯機での手入れが可能なんです。 ◆洗濯機で洗う際のポイント (1)手洗い(おしゃれ着洗い)モードを選択する。 ※洗濯機によってモードの名称は異なります。 (2)中性洗剤を使用する。 (3)必ずネットに入れる。 (4)水と洗剤をしっかり混ぜてから洗濯物を入れる。※ドラム式洗濯機の場合は、空のペットボトルに洗剤と水を1:1の割合で入れてよく混ぜてから、洗剤ケースに入れる。 (4)数着まとめて洗濯する場合、色移りを防ぐため色の濃いものと薄いものは分けて洗濯する。 茂木さん: 洗濯機の通常モードはグルングルンと回りながら洗うのに対し、手洗いモードは、ゆりかごのように揺れながら洗うのが特徴なので、遠心力による負荷を軽減することができます。 ◆中性洗剤を使用するべき理由は? ニットをはじめ、デリケートな素材を洗濯する際に用いられる中性洗剤(おしゃれ着用洗剤)。通常の洗濯洗剤との大きな違いは、洗浄力にあります。普通の洗濯洗剤(弱アルカリ性洗剤)は洗浄力が強く、ニットのようなデリケートなアイテムはダメージを受けやすいのが実情。 茂木さん: 洗浄力の強い洗剤を使ってしまうと、手洗いで丁寧に洗う意味がなくなってしまいます。「おしゃれ着用洗剤」の表記があるものであれば大丈夫なので、できるだけ用意するようにしましょう。