石破茂首相は「もしかすると長期政権?」 支持率が低くても党内基盤が弱くても“延命”できる道筋とは
24日に閉会した臨時国会は、政策活動費の廃止を含む政治改革関連法や13.9兆円の補正予算などを可決したが、企業献金・団体献金禁止問題や公職選挙法改正については次期通常国会に先送りとなった。本予算案の審議とともに、7月に予定される参院選を目指して、各政党間のさらに熾烈な駆け引きが行われるはずだ。 実際に公明党と国民民主党は、政治資金をチェックする第三者機関を設置する法案を共同提出し、12月24日に成立させた。年明けからは具体的な制度設計について作業チームを設け、検討することを決定している。 これは「自民党抜き」の動きに見えるが、実際には国民民主党を他の野党から引き離す効果がある。その先に来年夏の参院選が控えているのはもちろんだ。 ■「一緒になって選挙というつもりは全くない」 10月の衆院選の結果を参考に読売新聞が行った試算では、参院選「1人区」は野党が一本化すれば、与党は15勝17敗と負け越す結果が出ている。立憲民主党の野田代表は11月7日に日本外国特派員協会で講演し、「『1人区』で(自公以外の野党が)協力すれば、劇的な変化が起こせる」と野党共闘に意欲的だ。 しかし「対決より解決」を標榜する国民民主党は、党勢が広がりを見せており、これに乗ることはないだろう。また日本維新の会の吉村代表は12月10日、「1人区」について予備選で野党を1本化するという考えには同調したものの、「(立憲民主党と)一緒になって選挙というつもりは全くない」と協力には消極的だ。 野党がバラバラになれば、少数与党は救われる。実際に石破首相自身は派閥を持たず、安倍派という最大派閥が消えてしまった自民党で、第4派閥だった旧岸田派と派閥を持たない菅義偉元首相の支持を得て決選投票で勝利した。「少数派ゆえの優位性」については、すでに経験済みといえるだろう。 石破首相は11月29日、臨時国会の所信表明演説で故・石橋湛山首相の施政方針演説を2度までも引用したが、その趣旨を12月24日の会見で、本稿冒頭のように説明した。 国会で野党がそれぞれ議論を交わし、その差を鮮明にすればするほど、政権の延命に繋がるのだ。来年の通常国会がいっそう「熟議の国会」となることを、石破首相が一番願っているに違いない。 (政治ジャーナリスト・安積明子)
安積明子