石破茂首相は「もしかすると長期政権?」 支持率が低くても党内基盤が弱くても“延命”できる道筋とは
理由は、148議席の立憲民主党、38議席の日本維新の会、28議席の国民民主党という野党の存在だ。 この3党の代表は、旧民主党の流れをくむという共通点がある。立憲民主党の野田佳彦代表は民主党政権で首相に就任し、日本維新の会の前原誠司共同代表も民主党と民進党の代表を務めた。国民民主党の玉木雄一郎代表(2025年3月3日まで役職停止)は2016年の民進党代表選に出馬して落選したものの、希望の党から派生した旧国民民主党の代表に就任した。 なお、野田氏と前原氏は松下政経塾の先輩と後輩で、ともに1993年の衆院選で初当選した。「非自民・非共産の大きなかたまり(政治勢力)を作る」という点でも、2人の思惑は一致する。 ■「政権交代こそ、最大の政治改革」 一方で故・大平正芳首相の後継を自負する玉木氏は、岸田文雄政権時の自民党に接近し、2022年度本予算案に賛成した。当時、国民民主党の代表代行だった前原氏はこうした姿勢に反発し、23年末に同党を離れた。 こうした背景を持つ3人が、「石破自民」を揺さぶっている。立憲民主党は今年10月の衆院選で「政権交代こそ、最大の政治改革」を掲げ、自民党に対決姿勢を示している。 しかし立憲民主党は単独では過半数にほど遠く、政権を奪取するためには他の野党と組む必要がある。日本維新の会共同代表の前原氏は、9月に野田氏が立憲民主党の代表選に当選した時、「薩長同盟」を仄めかしたことがあるが、吉村洋文代表は大の立憲嫌いで有名だ。 衆院選で7議席から28議席と4倍になった国民民主党は、12月の世論調査で支持率が野党第一党の立憲民主党を凌駕。その勢いで与党に「103万円の壁」の突破を迫り、「123万円」まで引き出した。 だが自民党税調のインナーの壁は厚く、国民民主党が主張する「178万円への引き上げ」については協議の段階に留まっており、具体化にはまだ遠い。 こうした微妙な関係を、石破自民はうまく利用している。国民民主党との「103万円の壁」交渉が難航した12月19日、自公は日本維新の会と教育分野をテーマにした政調会長らの会議が発足。日本維新の会が主張する高校の教育無償化などの政策を議論していくことを決定した。国民民主党に対する事実上の揺さぶりと見られている。