離れて暮らす母の「年金」を管理することになった50代夫婦ですが、家計が赤字で困っています…子世代はどのようにサポートしたらよいでしょうか?
加齢に伴って認知機能は低下する傾向にあるため、離れて暮らしている高齢の親が、経済的に問題なく生活できているか心配な方もいるでしょう。 「最近、親の物忘れがひどくなってきた」「判断力が鈍ってきた」といった理由から、お金の管理を含め、高齢の親をサポートするケースは少なくありません。 中には、年金だけで生活している親の家計が赤字だと分かり、驚く人もいるようです。そこで今回は、年金生活をする高齢者世帯の一般的な家計収支について調べました。子世代が、年金暮らしの親をサポートする方法もご紹介しますので、参考にしてください。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
赤字は珍しくない!? 年金生活をする高齢者世帯の一般的な家計収支
離れて暮らす親の認知機能が衰え、年金などの金銭管理がうまくできず、家計が赤字になってしまうケースは少なくありません。総務省統計局の「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要」によると、65歳以上の無職世帯の家計収支は以下の通りです。 ・高齢単身無職世帯 実収入:12万6905円 消費支出(14万5430円)+非消費支出(1万2243円)=15万7673円 ・夫婦高齢者無職世帯 実収入:24万4580円 消費支出(25万959円)+非消費支出(3万1538円)=28万2497円 同調査から、仕事をしておらず年金だけで暮らす高齢者世帯では、単身者および夫婦のどちらも家計収支が赤字であることが分かります。そのため、単身世帯では毎月3万768円、夫婦世帯では3万7916円の不足分を、預貯金を崩すなどして賄わなければなりません。 持ち家でなく賃貸住宅に住んでいたり、旅行や趣味にお金を使っていたりする場合は、毎月の赤字額がさらに大きくなる可能性もあるでしょう。調査結果から、高齢者世帯が年金だけで生活できないケースは、決して珍しくないことが分かります。
年金暮らしの親をサポートする方法
年金生活をしている親の家計が赤字で困っている場合は、以下のような方法でサポートできるでしょう。 ■生活費を見直す 固定費を見直して毎月の支出をおさえることで、赤字を黒字に変えられるかもしれません。例えば、家賃の高い賃貸住宅から家賃の低いところへの引っ越しで、月々の出費を減らせます。所得が入居資格の金額内に収まっているなど条件を満たせば、公営住宅への入居も可能でしょう。 また、通信費や、生命保険などの保険料、利用頻度の低いサブスクリプションサービスを見直すことで、毎月の支出をおさえられるかもしれません。 ■仕送りをする 赤字がそれほど多額でなければ、仕送りによるサポートも検討できます。ただし50代夫婦の場合は、子どもの教育費用や家のローン返済にお金がかかるケースもあるため、経済的な余裕はないかもしれません。 自分たちの老後資金など、今後お金が必要になる場合も想定し、無理のない範囲で仕送り額を決める必要があります。 ■持ち家があればリバースモーゲージで現金を確保する 離れて暮らす親が持ち家に住んでいる場合は、自宅を担保にする「リバースモーゲージ」の利用も検討できます。 借りたお金は、借入人の死後に担保となっていた不動産を処分して一括返済する仕組みで、持ち家に住み続けながら老後資金として使える点がメリットです。 ■生活保護の活用を検討する 収入が年金のみで、年金受給額が国の定める最低生活費に満たない場合は、生活保護の申請により差額を保護費として得られる可能性があります。生活保護を受けるためには、「事情があって働くことができない」「売却して生活費を賄えるほどの資産がない」など、さまざまな条件をクリアしなくてはなりません。 子世代の金銭的なサポートが難しい場合は、生活保護に頼るのもひとつの選択肢でしょう。