税金1.6兆ウォンを無駄にして「フクシマ怪談」の嘘にやっと気づいた… 韓国の反日勢力がトーンダウン
1年前の反対大集会
筆者は1年前、ソウル光化門広場で開かれた「共に民主党」など左翼野党の政治家と市民団体による「福島汚染水放流」反対集会を取材した。道路を占拠して行われた大規模なものだった。 日本政府の「科学的にも処理水が海に及ぼす汚染はない」という説明は、「日本は全く信用できない」という論調で無視をする。処理水の放流が海洋生態系に悪影響を及ぼすという一部の外国科学者の発言を持ち出し、まるで集団催眠にかかったかのように、日本政府と尹大統領を責めていたのが印象的だった。 かねて「共に民主党」は「福島汚染水放出阻止対応団」と「原発汚染水投棄阻止対策委員会」などの団体を結成していた。福島汚染水放出阻止対応団の国会議員である魏聖坤(ウィ・ソンゴン)氏は、昨年4月に「日本の汚染水は早ければ7カ月、遅くても2年後に済州島付近に流入し、莫大な被害を及ぼすものと予想される」と危機感をあおった。原発汚染水投棄阻止対策委員会の国会議員だった尹永徳(ユン・ヨンドク)氏も、「早ければ7カ月、遅くても2年の間に韓国の海に汚染水が到達する」と同調した。 こうした行動は市民から一定の支持を得た。今年4月の国会議員総選挙で左翼野党が圧勝した一因も、こうした動きの影響であることは間違いない。 ところが、今、左翼野党と市民団体の「福島汚染水放流」を追及する声に当時の熱はない。1年前なら、岸田首相を乗せた車の行く先々に立って、集会を開催し、さまざまなデマを流したはずだった。しかし今回はなにもなかった。
トーンダウンのワケ
理由は簡単だ。福島処理水の放流から1年が経ったが、韓国の環境に何ら被害を与えていないことが科学的に証明されたためだ。「福島汚染水放流」への抗議は、政治を扇動するためのただ の道具だったことが明らかになってしまった。 韓国政府は、野党と市民団体の抗議を受け、水産物の安全を検証する目的で、海洋放射能検査と水産物消費促進事業として1兆6000億ウォン(約1740億円)以上の税金を投じてきた。この1年間で、韓国と日本の水産物、天日塩、海水を対象に放射能検査を計4万4000回も実施した。その結果が今年8月はじめに公表されたのだが、それによると、放射能基準値に近い検査結果は1件もなかったのだ。日本と韓国産の水産物には3万7781回の検査を実施し、このうち99.8%(3万7703回)は、放射能濃度があまりにも低く「不検出」の結果が出たという。うち78回(0.2%)は放射能が感知されたが、これもほとんどが基準値の50分の1未満だったようだ。 ソウル市も、昨年8月24日から約1年行ってきた水産物卸売市場と伝統市場を対象とした食品放射能検査計2万6772件の結果を9月2日に発表した。その結果は、全て「適合」判定だった。 この結果を受け、政府と保守与党は攻勢に出る。韓国ではデマを「怪談」と呼ぶが、大統領室は8月23日のブリーフィングで、「今日で福島処理水の放流から1年になる。野党や市民団体の主張は、科学的な根拠のない荒唐無稽な怪談で、偽りの扇動であることが明らかになった。それにもかかわらず、怪談の根源地である野党は国民に謝罪さえなしに無責任な行動を見せている」とし、「野党の荒唐無稽な怪談扇動がなければ、予算1兆6000億ウォンを投入しなくてもよかった」と非難した。 保守与党「国民の力」の秋慶鎬(チュ・ギョンホ)院内代表も、8月23日の会議で、「1年間、怪談に熱を上げながらも、厚かましく水産物は連日おいしく召し上がった野党国会議員は、いまだに汚染水怪談に対して謝罪や反省の一言がない」と皮肉った。 これに対して野党「共に民主党」側は、突然「早ければ7ヶ月、遅くとも2年の間に韓国の海に汚染水が到達する」という以前の主張を撤回。金民錫(キム・ミンソク)国会議員は大統領室の発表に「汚染水の流入は4~5年から10年がかかるという。わずか1年が過ぎたのに、何もないというのは無知であり、非論理的だ」と、一応、反論してはいる。