U18日本代表チームで最も小柄な165センチの山畑真南斗（明徳義塾）。それでもアジア選手権では途中からスタメンに抜擢されるなど活躍 photograph by Fumi Sawai

　まさに薄氷の勝利だった。 　台湾で開催されている野球のU18アジア選手権の二次ラウンド初戦。一次ラウンドは大差の試合が続いたが、この日の相手は地元・台湾。完全アウェーになることも含めて、厳しい展開がある程度想定されていた。そんな中で、日本チームは膠着状態が長く続いた試合を1-0で逃げ切った。 【現地写真】「これは…身長差エグいな…!」U18チーム最高身長198cmの藤田と山畑の「33センチ差」衝撃2ショット…台湾でのアジア選手権の現地写真も併せて見る 　試合後、代表の小倉全由監督は「こういうゲームになると思ってはいたけれど……。ピッチャーはよく投げたし、守備もよく粘ってくれたし。(決勝スクイズの)濱本(遥大、広陵)も決めてくれたしね」 　台湾の先発は、一次ラウンドの韓国戦で先発し、150キロ台の速球を立て続けに披露していた剛腕チェン・ムーヘン。序盤から力のある速球にねじ伏せられ、快音がなかなか響かなかった。

台湾の好投手に苦戦…膠着打破のきっかけは？

　互いに無安打のままスコアボードに0が並ぶ。3回、無死二塁の場面では日本の山畑真南斗(明徳義塾)がバントを失敗し一塁ランナーとなったが、その後に二盗、三盗を決め、相手をかく乱させた場面もあった。 「(三盗は)自分の判断ではなかったんですけど、小倉監督から『いけたらいけ』と言われていたので思い切っていきました」 　ただ、ホームが遠く、日本打線からなかなかチャンスが生まれない。そんな中、6回の先頭打者は、3回のチャンスを潰した格好になった山畑だった。 「5回にも自分のエラーでピンチを招いてしまったので、何とか取り返したいと思っていました。チームに勢いをもたらすために何とか1本打とうと。追い込まれたら打てないので、初球から思い切っていこうと思いました」 　うまくミートした打球は左翼前に落ち、チーム初安打となった。そこからは相手のエラーも絡み無死一、三塁のチャンスを作ると、冒頭の濱本の絶妙なスクイズで貴重な1点のホームを踏んだ。 「すごく嬉しかったです。試合にずっと出たくてウズウズしていたんですけど……いざ、自分がスタメン出場となると、実はすごく緊張していたんです」 　スタメン発表は球場に着いてから告げられた。 　今大会ではここまでずっとベンチスタート。「試合に出たくてウズウズしていました」とはいえ、いざ出場となると心臓が高鳴った。さらに台湾側のスタンドからはマイクパフォーマンスも加えた大応援団の声援が飛び交う。だが、緊張したのは序盤だけだった。 「仲間がいっぱい声を掛けてくれました。そのお陰でどんどんほぐれていきました。エラーをした後も、中崎(琉生、京都国際)とか間木(歩、報徳学園)が、『切り替え、切り替え』と言ってくれたので、すごくありがたかったです」