活躍が期待されるサウスポー、都市対抗野球でプロが注目する選手たち:投手編
ヤマハの投手陣は人材が豊富で、今回の東海予選は「0回1/3」の登板にとどまった。ただし直前の調整が上手くいけば、東京ドームでサプライズを起こす可能性を持っている。
右腕はチョイスが難しい。左腕に比べると希少価値が低く、指名、非指名の差は紙一重だ。「指名されてもおかしくない」「おかしくなかった」選手は何十人という単位で挙げられる。
例えば臼井浩(東京ガス)、嘉陽宗一郎(トヨタ自動車)はその典型だ。阿部翔太(日本生命→オリックス)や比嘉幹貴(日立製作所→オリックス)のように20歳台後半でプロ入りして活躍している右腕もいる。
「若さ」という意味では、まず寺嶋大希と片山楽生のNTT東日本コンビが楽しみだ。寺嶋は高卒3年目、片山は入社4年目で、高校時代から評価が高かった右腕。現状はまだ短いイニングの登板が多い状況だが、プロ入りを伺うレベルにはある。
木下里都はKMGホールディングスの右腕で、「即戦力」として期待できる存在だ。九州地区予選はほぼ全イニングを1人で投げ切っている。183センチ・87キロと大柄で、最速155キロの速球を持ち、福岡大から入社して2年目。
大学時代は負傷で3年次までリーグ戦の登板がなく、4年春に台頭したものの、当時はスタミナに課題を残していた。しかし今は球速、安定感ともに増していて、大舞台でのブレイクが見られそうだ。
都市対抗とその予選は企業にとって「負けることが許されない試合」で、当然ながら完成度の高さ、安定感が重視される。150キロを超える球速を持っていても、なかなか出番を得られず埋もれている大器も多い。
2023年のドラフト会議は椎葉剛(徳島インディゴソックス→阪神)、大谷輝龍(富山GRNサンダーバーズ→千葉ロッテ)と独立リーグの本格派右腕がいずれも2位指名を受けた。この2人は社会人チームでなかなか出番を得られず、独立リーグに移籍したという共通点がある。
逆に言うとプロが上位で評価するような可能性の持ち主が、社会人には潜んでいる。ここで名前を挙げられなかった投手の中にも、「可能性の持ち主」が多くいることを最後に強調したい。
文:大島和人
大島 和人