BE:FIRST、Number_iらを手がける気鋭プロデューサー、MONJOEの歩みとビジョン
プロデューサーとしての覚醒前夜
―プロデュースワークはどういう流れで始めたんですか? MONJOE:DATSやyahyelの活動をやっていく中で、曲提供やプロデュースを頼まれる機会がちょこちょこあって、なんとなく始めましたね。例えば、向井太一くん(現・TAIL)がyahyelの音楽を気に入ってくれて、ライブに来てくれて、終演後に挨拶したところから関係が始まったり。僕としてはその頃はまだプロデュースっていう認識はあまりなくて、半分遊び感覚で一緒に曲を作るっていう感じだったと思います。 ―ギアを変えたタイミングがあったんですか? MONJOE:コロナ禍以降ですね。DATSのライブができなくなったことは大きかったです。僕は今31歳ですが、30代はプロデューサーとしてのキャリアを本格的に積んでいきたいってぼんやりと思い始めたんですよね。ナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーとか、アーティスト活動をしながらプロデュースワークをやってる存在への憧れが強くて。コロナの影響でDATSの活動が止まってしまって、なんとなく日本でそういうポジションになりたいと思い始めました。 ―そこでプロデュース活動ができるよう、自分から働きかけていったんですか? MONJOE:そうですね。yahyelを脱退する直前の2018年頃、韓国の音楽のすごさをひしひしと感じていて。自分たちが表現してきたアンダーグラウンドなものをいとも簡単に大衆に届ける工夫ができる人たちが韓国にはウジャウジャいるってことに気づき始めたんですよね。無力感に襲われて、「このままじゃいけない」っていう危機感が生まれたんです。この先も音楽で生活していくためには、韓国のクリエイターと同じレベル、もしくはそれ以上のレベルになって戦っていけるぐらいにならねばと思い始めて。 yahyelがXXXっていう、僕と同世代の韓国のインディーズのヒップホップグループとヴァイブスが合ってコラボしたことがあるんですが、彼らの音楽には日本で揉まれるだけじゃ到達できない何かを感じました。XXXはラッパーのキム・シミャとプロデューサーのFRNKっていうふたりでやってるユニットですが、FRNKはNewJeansの「OMG」と「Cookie」をプロデュースしてて、BTS・Vの楽曲も作っています。去年の5月に韓国へ行ったとき、6年ぶりくらいに会ってお互いの近況を報告し合ったんですけど、彼の最近のプロデュースワークの話を聞いてすごく感化されましたね。お互いアーティストとして世界を目指してきて、今はオーバーグラウンドのシーンでプロデュースワークを頑張ってるところが似てるよねっていう話で盛り上がりました。僕としては、どうやったらK-POPシーンに食い込めるんだろうっていうことはずっと考えてます。 ―本腰を入れてプロデューサーとしてやっていこうと決心してから、具体的にどういう動きがあったんですか? MONJOE:いただいた依頼はどんなジャンルだろうと、どんな条件でも断らずにとにかくやるっていう風に決めました。それまでは断ったものもありますし、自分からガツガツ営業してたわけでもなかったんですけど、当時はコロナの影響でお金がなかったこともあって、「何でもいいので仕事ください」みたいなモードではありましたね。あと、元々TinyVoice Productionに所属していて、今は自分でINIMIっていうチームを立ち上げているSUNNYさんっていう第一線で活躍しているプロデューサーがいて。僕の師匠的な存在なんですが、その方に「いろいろと勉強させてください」ってお願いして、INIMIの案件に参加させてもらうようになり、プロデュースワークに必要なことを学びました。