「60歳からの人生を楽しみたい」元とらばーゆ編集長が60代で新築住宅を建てた理由 東京&神奈川県三浦市で二拠点生活
そして、夫との共通の価値観である「食」「旅」「友人との時間」を満喫できる場所として、東京ではなく、「自然豊かな場所で別宅」を持つ選択肢がぐっと現実味を帯びてきた。 「夫婦共通の仲の良い友人が長野に別荘を持っていて、よく遊びに行ってたんです。“ここは山の家だから、私達は海の家担当ね”って話していたんです。年に数回しか使わない別荘なら少しもったいないけれど、仕事場も兼ねるならアリじゃないかと思ったんです。使わないときは友人に使ってもらってもいいですから」 コロナ禍でリモートワークが増え、東京で仕事をする必要性が薄れたこともある。仕事用に東京でワンルームを借りていたものの、けっして質が高い仕事部屋とは言えなかったことも動機になった。 「自宅で過ごす時間が増え、どこに住まうのかで人生の豊かさが大きく違ってくることも実感したんです。朝日が昇れば働き、日が沈めば仕事を終わる。そんな暮らしに憧れて、別荘兼仕事場のワーケーションハウスを建てようと具体的に考えるようになりました」
階段の踊り場のような空間を広くとったワークスペースと、ここから緑越しに見えるヨットハーバーの眺望。「この眺望が仕事のクオリティを上げてくれます」
「夫も私も食べることが好き」を表すような広いキッチン。そこからも木立越しにヨットハーバーが見える。
友人が遊びに来て宿泊できるよう、二段のベッドスペースを設けた。「このソファもベッドになるもの。人を招きやすい”包容力のある家”もコンセプトのひとつでした」
造園のプランを依頼したのはグリーンにまつわるさまざまな提案を行っている「SOLSO」。白の花が咲く、清涼感のある香りのするティーツリーのほか、三浦市に自生する植物や実の成る樹木を植えて。
「窓の位置や動線と合わせて、“自然に見えるけれど、実は計算尽くされたデザイン”になっています」
人生100年時代ならまだ40年ある。決断は遅すぎることはない
とはいえ、通常、60代といえば、そろそろローンの完済が見えるころ。住み慣れた家を修繕したり、便利な立地のマンションに買い替えたりすることはあっても、「初めて住む場所に、一戸建てを建てる」――不安はなかったのだろうか。 「人生100年と考えたら、60歳ってまだあと40年あるんですよ。この40年を私は3つに分けて考えています。85歳ぐらいまでを元気に生活できる『アクティブ期』、95歳ぐらいまでを健康面で難はあるけれど、自分の事は自分できる『セルフケア期』、その先は誰かのヘルプを受けながら自分の尊厳を守る『要介護期』の3つです。いずれ誰もが介護が必要になり、どこかしらの施設に入る人も多いでしょう。とはいえ、実はセルフケア期までは自分の家で過ごせるんです。けっこう長いんですよね。だから60歳で自分の家を建てることは決して遅くはないと思います」 河野さんの家はバリアフリーではない。どの場所にいてもハーバービューを堪能するため、段差を付けているし、階段もインテリアの邪魔にならないよう、手すりは最小限だ。 「確かにバリアフリーとは逆行した家ですね。もちろん、いつか車椅子になるかもしれない。でもそのいつかっていつ? いつ来るか分からない、でも確率としては20年以上先の不確定な未来のために、今の生活を犠牲にしたくなかったんです」
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