長崎県、大石知事1期目の最終年へ…石木ダムやフル規格は膠着<自治体の課題と展望2025>
2025年が幕を開けた。長崎県や県内21市町は地域課題の解決に向け、さまざまな施策に取り組む。それぞれが抱える課題や展望を紹介する。 大石賢吾知事は26年3月1日までの1期目の最後の1年に入る。課題山積の中で具体的成果をどれだけ残せるか。正念場となる。 県政運営の主な方針で、各分野の目標を示した総合計画(21~25年度)は最終年度を迎える。24年3月までに、目標の進捗(しんちょく)が数値で評価できる266項目のうち、約5割の136項目は達成した。未達成の130項目のうち72項目は「改善傾向」で、残りの58項目を含めて総仕上げに入る。 同時に次の計画の策定作業も本格化する。大石知事は子ども施策などを柱とする新たなビジョン「未来大国」を本年度掲げたが、議会などからは「総合計画との違いが分かりにくい」との指摘も。大石知事は次の計画に「ビジョンの考え方を溶け込ませる」としており方向性の整合を図る。 一方、重要課題の石木ダム建設事業を巡る反対住民との対話や九州新幹線長崎ルート未着工区間(新鳥栖-武雄温泉)のフル規格化は膠着(こうちゃく)状態が続く。 石木ダム建設は新年度で事業採択から半世紀。大石知事は対話で解決するとしているが、22年9月を最後に途絶えている。県はダム周辺の地域振興策「水源地域整備計画」の素案をまとめ現地で説明会を開く予定。反対住民との対話の機会も探る。 新幹線のフル規格化は、昨年5月に佐賀県の山口祥義知事とJR九州の古宮洋二社長を交えたトップ3者が意見交換。大石知事は国を含めた4者協議が必要と提案したが、3者での「地元合意」を主張する山口知事との議論は平行線をたどった。佐賀県側の理解を得る政治力も問われる。 検討を重ねてきた県庁舎跡地の活用は3月までにイメージやスケジュールを示す方針で、土地の将来像が徐々に見えてくる。一方、誘致に失敗したカジノを含む統合型リゾート施設(IR)の代わりとなる県北振興策は見いだせていない。 昨年6月に浮上した大石知事の政治資金問題で、県議会は2月に全員協議会を再び開き疑惑の真相究明を目指す。問題の長期化で県政の停滞も懸念される中、県民が納得する説明を引き出せるか注目される。