<独自>文科省、東洋大と大東文化大を指導 学力試験の年内「前倒し」実施で 大学側反発
大学や高校の関係者で作る大学入試の実施要項で年内実施を認めていない学力試験による選抜を行った東洋大と大東文化大に対し、文部科学省が入試前、要項順守を求める指導をしていたことが16日、分かった。両大とも、通常は高校の推薦書と面接などで合否を判断する「学校推薦型選抜」に学力試験を含めており、同省は年明け2月以降の実施を求めている学力試験を伴う一般選抜の「前倒し」と判断。両大は指導に反発している。 【表でみる】入試を巡る文科省の見解と大学側の反論 実施要項は、大学や高校の関係団体による「大学入学者選抜協議会」で決定し、文科省が公表する。その中で、学校推薦型選抜を含めて学力試験の期日は「2月1日から3月25日までの間」と明記。実施要項の逸脱に罰則などはないが、文科省は大学側に順守を求めている。 文科省は10月、新たに学校推薦型選抜として年内に学力試験を実施すると公表した両大の幹部を呼び出し、「試験期日のルールを逸脱している」と指導。しかし、大東文化大は11月24日に「学校推薦型選抜(基礎学力テスト型)」として、東洋大は今月1日に「学校推薦入試基礎学力テスト型」として、英語や国語の学力試験を実施した。 一方、関係者によると、関西の中堅私大では、以前から両大と同じように学力試験を年内に実施する「推薦入試」を11~12月に行っているが、文科省はこうした実情を見逃してきた。 東洋大は取材に「関西の大学で慣習化しているのに、指導は矛盾している。難易度を変えるなどしており、一般選抜の学力試験とは違う位置づけだ」と反論。大東文化大は「(学力試験は)一般選抜と内容を変え、工夫して出題している。調査書などでも評価するので純粋な前倒しとは考えていない」とした。 文科省は、今後、関西の大学にも実施要項に定めた試験期日を守るように要請し、協議会で対応を決める方針だ。