「問題なく利益出せるので安心して」「1か月目で100万円達成」…大阪府警がSNS型投資詐欺の手口公開
大阪府警は7~10月、大阪市に拠点を置く二つのSNS型投資詐欺グループを摘発し、100人以上を逮捕した。10月には、メンバーらが被害者とやりとりしたSNSの記録を公開。その内容からは、詐欺グループが言葉巧みに投資に誘い、信じ込ませる様子が明らかになった。(坂戸奎太) 大阪府警が再現した、グループが拠点にしていた部屋の様子。机には充電器につなげられた多数のスマホが並んでいた
「親切」装う
「連絡もらう人の大半に関しては未経験者さんなのですが(中略)問題なく利益出せるので安心してください」
グループのメンバーが、SNSで投資の講師になりすまして送ったメッセージだ。丁寧な言葉遣いに絵文字も多用。「親切な勧誘」を装い、受け手の警戒心をほぐそうとする意図がうかがえる。
メンバーらは若い女性を装い、SNSにブランド品や高級な料理の写真を投稿。「投資で成功すれば、ぜいたくな暮らしができる」とアピールし、関心を抱いて連絡してきた人たちを投資に誘った。
「先月きてくれた生徒さんも50人近くいましたが1か月目で100万円達成が27人(中略)一緒に頑張っていきましょう」
投資先に紹介した金融商品は「バイナリーオプション(BO)」。為替相場の変動を予想する取引で、リスクが大きいとされる。
メンバーらは、相手の理解度を探りつつ、「利益が出る仕組み」「取引口座の開設・入金」などの順で説明。ウェブサイトで投資の練習をさせて、利益が出ても損を出しても「センスがある」とおだて上げた。
連勝の「秘訣」
BOの仕組みを理解した頃合いを見計らって、連戦連勝で利益を得られる「秘訣(ひけつ)」を登場させる。「ハーツ」「アビル」などと名付けた情報商材だ。
「○○(情報商材名)を使って取引していくから安定した勝率を保って利益出していけるんだよ!!って感じですね」
商材は「勝率が高いポイントをサインで教えてくれる」との触れ込みだった。メンバーは「勝率92%」の商材が、通常なら145万円のところを51万円で買える、などと「お得感」を強調して購入を促した。
だが、メンバーが商材とうたったのは、ネット上で無料で閲覧できるチャート図を加工しただけのものだった。府警はこれらが詐欺に当たると判断し、摘発に踏み切った。被害者の多くは投資そのものではなく、商材に多額を費やし、金をだまし取られていた。