火事から再建も機械の不具合でまた休業…昭和35年から続く「ぽんせん」を未来に繋ぐため後継者は東京でバイト生活中
創業は昭和35年。関西で愛されてきたお菓子「ぽんせん」。小麦粉と醤油味の、素朴で軽い食感が特長です。 【写真】2019年に焼失した工場。機械は影響はないとみられましたが… 製造元のマルサ製菓(兵庫県朝来市)は2019年に火事で工場を焼失。休業を余儀なくされたものの、クラウドファウンディングを成功させ無事翌年再建を果たしました。ところが2024年7月、製造する機械に不具合が生じ、生産がストップ。再起を目指し奔走する社長の息子、佐賀建斗さんに話を聞きました。 ――機械の入れ替えが必要だそうですが? 佐賀:去年の夏頃からきれいに焼けず廃棄の量が増えてきたんです。調整不足なのかな?と思っていたのですが、ついに焼けなくなりました。老朽化など色々な原因が考えられますが、今思えば火事で燃えることはなかったものの、ゆがみなど影響が残っていたんだと思います。機械はオリジナルで製作されたもので、取り換えるのにも時間がかかります。 ――困難が続きます。 佐賀:今回は新しい機械を導入する資金と、休業するための資金の融資をお願いしました。火事の時も融資していただいたので金融機関側から見れば厳しいですよね。でも将来性を見込んでいただき無事認められ、ほっとしました。「ここが辞め時ちゃうか?」という話も出たんですが、SNSを通じてファンになって下さる方も多く、家族で話し合い、もう一度チャレンジしようと決めました。 ――休業中の生活は? 佐賀:あくまでも融資は会社のためで、休業すると生活費はゼロ。父は元警察官だったので警備関係の会社で働き、僕は東京にいる姉の家に身を寄せて、タイミーなどを活用してアルバイトをしながら、企業アカウントの中の人として培ったノウハウが生かせるSNS運用などの仕事も模索中です。お客さまからは「いつまでも待ってます」と。取引先さまからも「無理せず頑張ってください」と言っていただけてありがたいです。 ――ぽんせんの未来は? 佐賀:今ぽんせんを愛して下さってる方は60代70代の方が多いんです。工場が再開したら、マルシェ出店やSNSを通じて新しい世代や関西以外の人にも、ぽんせんの食感の良さ、美味しさを知っていただきたいです。新しい機械が入ったら、より効率的に美味しいぽんせんが作れるので、良い転機になったと思って頑張ります! ◇ ◇ 融資が降りたことを報告するポストには「希望を捨てず前向きに頑張って」「必要分はしっかり値上げして」「頑張ってきたご褒美休暇だと思って楽しんでください」など、優しいリプライが殺到。工場の営業再開は2025年2月を予定しているとのこと。ぽんせんが全国デビューするその日が楽しみです。 (まいどなニュース特約・ゆきほ)
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