文学と音楽による美しきマリアージュがここに。シューマンの歌曲集『詩人の恋』【クラシック今日は何の日?】
クラシックソムリエが語る「名曲物語365」
難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。
シューマン 歌曲集『詩人の恋』 文学と音楽による美しきマリアージュがここに
今日12月13日は、ドイツの詩人ハインリヒ・ハイネ(1797~1856)の誕生日です。 デュッセルドルフの貧しいユダヤ商人の家に生まれたハイネは、当時の封建的なドイツにおけるユダヤ人の立場から脱出すべくフランスへ亡命。詩人・ジャーナリスト・評論家して活躍しつつ、パリでその生涯を終えています。 同時代の音楽家と親しく交流したハイネの遺産の中でも、ひときわ印象的な著作が、1827年に刊行された抒情詩集『歌の本』でしょう。この本に収められた詩をもとに、シューベルトやメンデルスゾーンら、同時代の作曲家たちが多くの歌曲を生み出しています。 中でもロマン派を代表する作曲家ロベルト・シューマン(1810~56)にとって、ハイネはなくてはならない存在だったように見受けられます。シューマンの“歌曲の年"といわれる1840年に作曲された歌曲集『詩人の恋』はその筆頭。文学と音楽の最高のコラボレーションのひとつ「ドイツリート」の素晴らしさを改めて認識させられる名曲です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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