石破首相、14日から南米外遊 厳しい政権運営巻き返しへ試される外交力
石破茂首相は14日からの南米訪問に合わせて、中国の習近平国家主席との初会談などを調整している。帰国の途中、米国でトランプ次期米大統領との会談が実現するかも焦点だ。先の衆院選で与党が過半数割れし、政権運営が厳しい中、外遊で一定の成果を挙げて巻き返しを図れるか、首相の外交力が試される。 【年代別でみる】石破内閣を「支持する」が「支持しない」を上回った唯一の年代は? 「グローバルサウス(南半球を中心とする新興・途上国)、アジア太平洋諸国との連携を一層強化する機会としたい」。首相は11日夜の記者会見で、南米訪問の意義を強調した。 習氏との初の日中首脳会談は、アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせてペルーの首都リマで15日に開催される見通しだ。首相は就任間もない先月10日、ラオスで中国の李強首相と会談し、9月に中国広東省深圳で起きた日本人男児の刺殺事件や中国軍機の領空侵犯事案について説明を強く求めた。 ただ、その後も中国軍の航空機や艦艇による南西諸島周辺での活発な活動は継続している。日中間の懸案について石破首相が中国トップの習氏に対し、毅然とした対応をとれるかが課題となる。 首相は11日の記者会見で「極めて良好な日米関係を維持し、新たな高みに引き上げていくために、なるべく早いタイミングで直接会談する機会を持ちたい」と述べ、トランプ氏との早期会談にも意欲を示した。 2016年、当時の安倍晋三首相は、各国首脳に先駆けて1期目当選直後のトランプ氏と会談し、その後の蜜月関係につなげた。 トランプ氏は政権発足後、1期目同様に防衛費や在日米軍駐留経費の負担増を求める可能性があり、日米外交の見通しは不透明だ。会談が実現した場合、1対1での首脳外交を好むトランプ氏との信頼関係構築の足掛かりにできるかが鍵となる。 一方で日米韓3カ国は、APEC首脳会議に合わせて首脳会談を調整している。トランプ氏が多国間協力の枠組みを軽視する可能性があり、新政権発足前に3カ国連携の重要性を確認する狙いがある。(小沢慶太)