中国EVの新型車発表が凄い。シェア奪われる日独車が追いつけない理由とは?
シェア拡大続く中国勢、「自動化運転」がカギに
中国の地場メーカーが見せる急成長により、日本やドイツといった従来のトップメーカーたちはシェアを奪われ続けている状況にある。ある意味、未来は安泰とは言えないだろう。 シェアをなかなか取り返せないのにはいくつかの要因が挙げられるが、その中でも中国の消費者が新車に対して何を求めているのかを理解していないのもひとつ。単にグローバル市場で販売するモデルの装備を少し豪華にするだけでは焼け石に水という次第だ。もう少し具体的な話をすると、昨今の中国メーカーは移動中や駐車中に関わらず、車内で過ごす時間をいかに有意義に過ごすかを念頭にクルマを開発している。もちろん、それが消費者の求める要素なのか、はたまた企業がそのような風潮を形成しようとしているのかはハッキリとしないが、少なくともパッと見で日本車よりも中国車の方が車内空間・移動時間の演出は上手いと言える。 たとえば、センターディスプレイだけでなく助手席用にもタッチディスプレイを搭載したり、車内・車外の写真を撮影したり、オプション装備のカラオケ用マイクで車内カラオケを楽しんだり、中国メーカー車種の提供するインフォテインメントシステムは数々のおもしろ機能によって構成されている。中国車と言えば電気自動車(BEV)の選択肢が豊富だが、純電動であるかどうかはそこまで重要でなく、いかにクルマを「自分と乗員だけの移動できるパーソナルスペース」として最大限楽しめるかが焦点となってきているのだ。 そして、中国では依然として極めて高度なレベル2「L2++」(が一般的だが、自動化運転技術も中国新興EVメーカーにおける目玉機能のひとつだ。中国新興EVメーカー御三家のひとつに数えられる「シャオペン(小鵬汽車)」の最新車種「P7+」を例に取ろう。P7+では自動化運転機能を支えるコアとしてNVIDIAのOrin-Xチップセットを2基搭載、計算能力は508 TOPSを誇る。これに800万画素のフロントカメラを2基、車内カメラを1基、超音波レーダー12基、ミリ波レーダー3基を加えた構成だ。市街地や高速道路で目的地を設定することで左折や車線変更・流出入、その他基本操作をクルマが勝手に行なう「NOA(Navigate on Autopilot)」だけでなく、自動駐車や車外からの駐車操作、自動召喚機能などにも対応する。駐車場の構造をまずは人の手で運転して記憶させたのち、それ以降は自動で記憶した駐車スペースへ自動で動いて駐車するという便利機能も、シャオペン以外のハイエンドEVでは当たり前のように搭載されている。ちなみにシャオペンはこれらの機能にカメラを用いる方式が、他メーカーで一般的なのはレーザー光を照射するLiDAR方式となる。